公開日 2017年07月27日
2014年8月に公布・施行された「介護給付費及び公費負担医療等に関する費用等の請求に関する省令の一部を改正する省令」等により、現在すでに介護保険サービスの請求を行っている事業所については、国が定めた例外規定(表1)に該当する場合に限り、2017年度中に審査支払機関に届け出を行うことで、2018年4月以降も引き続き帳票(紙レセプト)による請求が可能だ。
◆表1 2018年4月以降も紙レセプトにより請求が可能な主な要件
▼下記に該当する場合であって、その旨を2018年3月末までに届け出た事業所
1)支給限度額管理が不要なサービス(居宅療養管理指導等)を1種類のみ行っている
2)支給限度額管理が必要なサービス(訪問看護、訪問・通所リハ等)を1種類のみ行っている
3)「1」および「2」の両方に該当する事業所(居宅療養管理指導+訪問看護等)
4)施設サービス(特養、老健)のみを行う50床未満の介護保険施設等
▼常勤の従事者の年齢が2018年3月末時点でいずれも65歳以上であって、その旨を2018年3月末までに届け出た事業所
▼下記の理由に該当する旨をあらかじめ届け出た事業所
1)電気通信設備等の機能障害が生じた場合(障害が解消されるまでの間)
2)改修工事中または臨時の施設において事業を行っている場合(当該期間中のみ)
3)事業の廃止または休止に関する計画を定めている場合(廃止または休止までの間)等
現在、東京都内の医療系サービスのみなし指定事業所では、電子請求が57.5%(オンライン33.3%/磁気媒体24.2%)を占める一方で、42.5%もの事業所が今なお紙レセプトによる請求を行っている。
◆表2 東京都内の介護サービス請求状況(医科/2017年6月審査分)
届出の提出先である東京都国保連合会では、本年6月22日からホームページ【請求省令のご案内(紙請求に関する免除届について)/国保連合会HP】での周知を開始し、対象となる事業所には免除届に関する連絡書を順次送付する予定であるとしている(問合せTEL:03(6238)0207、東京都国保連合会・介護福祉課)。
しかし、小規模の事業所にとって、オンラインや磁気媒体によるレセプト請求に関しては、経済的負担のみならず、人的負担も懸念の一つだ。メーカーごとに仕様が異なることもしばしばであり、さらに導入や更新、買い替え時などは、医師だけでなく入力作業を行う従業員全員が研修を受けなければならないほど、医療機関にとって負担が大きいとの声も聞かれる。
また、2018年4月以降に新たに介護保険サービスの提供を始める事業所については、その取り扱いが明確になっておらず、現在の請求省令および関連する事務連絡だけを見る限りでは、新規の事業所については、一時的な通信障害による場合を除いて、紙レセプトによる請求が認められない恐れがある。
協会では、2014年当時のパブリックコメントで「2018年4月以降にあらたに介護保険の請求を始める事業所についても、国保連合会に届出を行うことで紙レセプトによる請求を認めること」を厚生労働省に要望しているが、その後の実態も調査のうえ、必要な要望を行っていく予定だ。
(『東京保険医協会』2017年7月25日号掲載)