〔経営税務部〕税理士との懇談会 医療機関への「ゼロ税率」適用を

公開日 2017年09月06日

gra_170802税理士懇談会

税制改正への対応―配偶者控除から専従者への工夫も

経営税務部では8月2日、保険医サポートセンター税理士団と、医療機関を取り巻く税制、昨今の医業経営等について懇談会を開催した。

実質マイナス改定が続き、医療機関にとっては損税となる消費税増税など、医業経営は確実に厳しくなっている。特に処方日数制限が撤廃されたことが大きい―というのが税理士団の実感であった。

協会役員からは、30日処方を行っても飲み忘れ等で2カ月来院しない事例もあり、患者の管理ができなくなっている実態が出された。

税理士からは「診療報酬だけでなく税制も増税につながる改定が行われている。2018年から配偶者控除(現行一律38万円)に所得制限が設けられ、合計所得金額が1,000万円を超えると適用できなくなる。配偶者控除が使えなくなるので専従者に移行するなど工夫が必要だ」との意見が出された。

消費税「損税」の影響、診療所もチェックを

本来、事業者は課税売上に係る消費税額から、課税仕入等に係る消費税額を引いて納付するため事業者に税負担は課されない。命と健康には課税しないという理念のもと保険診療は非課税である。医療機関は保険診療の売上では消費税を受け取らないが、仕入れの際に支払った消費税はどこからも還付を受けられないため「損税」が発生する。一方、輸出免税については徴収できない消費税を「ゼロ%」とみなして仕入れにかかった消費税が還付される。協会は、患者に負担を課さず実質「非課税」となるゼロ税率(免税)を保険医療機関へ適用するよう求めている。

診療所の損税の影響について懇談し、病院では数千万から1億円もの損税を負担し続けているが、診療所では損税負担の影響が見えにくい現状が語られた。8%増税時に消費税補てん分を含めプラス0.1%の診療報酬改定が実施されたが、実際は補てんされたとは言い難い。役員・顧問税理士団では引き続きゼロ税率(免税)を求めるとともに、消費税10%への引き上げ中止を要求していく方針を確認した。

税務調査で留置き増加、カルテ開示も要求―協会の活用を

税務調査に立ち合うなかで、経験のある調査官が少なくなっている。「調査官が現場で判断できず、帳簿書類の留置き(持ち帰り)が増えている」「守秘義務を知らずにカルテ開示を要求される」「診療報酬や公費の仕組みを知らない調査官もおり、間違った理解で調査されることがある」との感想が出された。税理士団は、調査を長引かせかねない留置きは原則断り、現場での調査を徹底するよう求める立場だ。また、カルテは絶対に見せないことを徹底している。

2017年税制改正により犯罪捜査のための法律であった「国税犯則取締法」が廃止され、その条文が「国税通則法」のなかに組み込まれ、来年施行となる。任意調査である税務調査に今後どのような影響があるのか、税理士団では注視していく。

保険医サポートセンターでは、税理士や社労士、弁護士など各専門家による相談事業を行っている。会員からの相談に事務局経由で各専門家に確認したり、個別相談(有料)も行っている。困ったときはぜひ協会までご連絡を。

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(『東京保険医新聞』2017年9月5日号PR版掲載)