【要望書】HIV抗体検査の術前検査等の保険適応を求めます

公開日 2017年11月07日

2017年11月2日

厚生労働大臣 加藤 勝信 殿
厚生労働省保険局医療課長 迫井 正深 殿

東京保険医協会会長 鶴田 幸男
研究部長 申 偉秀
審査指導対策部長 浜野 博

HIV抗体検査の術前検査等の保険適応を求める要望書

 貴職におかれましては、国民医療の確保のために尽力されていることに敬意を表します。

 さて、現在、入院時および内視鏡検査時や手術前に患者のHIV感染の有無を確認するために実施するHIV抗体検査(HIV-1抗体、HIV-1,2抗体定性、HIV-1,2抗体半定量、HIV-1,2抗原・抗体同時測定定性又はHIV-1,2抗原・抗体同時測定定量)が、保険診療においては現に性感染症のある患者又は感染が強く疑われる者以外には、審査上認められていません(添付資料(1)参照)。

 近年、HIV/AIDS患者は年間1,500件ペースで増加していることが、厚労省が取りまとめたデータにより明らかになっています(添付資料(2)参照)。このような状況下で、医療従事者は常にHIV感染のリスクに晒されていると言っても過言ではありません。仮に医療従事者が針刺し事故等によりHIV感染者の血液に曝露した場合、速やかに抗HIV薬を服用することで発症を抑えられることが分かっていますが、HIV感染者であるか否かが明確でない場合はそのような適切な対処を行うことができません。多くの医療機関は、医療従事者をこの危険から守るために、独自に費用負担することでHIV抗体検査を実施しているのが現状です。

 入院時および内視鏡検査時や手術前の検査としては、梅毒およびB型・C型肝炎の検査の実施が保険適応として認められていますが、これらの検査と、HIV抗体検査とで保険適応が異なることで保険請求上の混乱が生じています。特に50代から60代の患者には、自身がHIVに感染していることを知らずにいるという事例も増えており、今後いっそうの感染拡大を防ぐ観点からも、国の公衆衛生の確保に対する責任からも、HIV抗体検査をスクリーニング検査として保険適応を認めるべきと考えます。

以上の理由から、早急に下記のように改善されますよう要望いたします。

[要望項目]

入院時および内視鏡検査時や手術前検査として実施するHIV抗体検査を保険適応としていただきたいこと。

以上

添付資料(1) 基金 審査提供事例(添付資料①)[PDF:89KB]
添付資料(2) H28エイズ発生動向(添付資料②)[PDF:802KB]
PDF版   【171102】HIV術前検査要望書[PDF:111KB]