中野区 予防接種(おたふくかぜ・インフルエンザ)を拡充

公開日 2017年11月17日

おたふくかぜワクチン

◇助成回数を2回へ拡大

おたふくかぜの定期接種は中止されたままだが、都内では16の自治体が独自予防接種費用を助成しており(表1)、東京都も事業経費の1/2を補助している(補助対象は「1歳から小学校就学前」)。昨年度は東久留米市医師会が助成を開始したほか、2017年度からは中野区が助成回数を1回から2回に拡充している。

図1_東京のおたふくかぜワクチン助成状況(2017年度)

おたふくかぜの後遺症に“難聴”がある。日本耳鼻咽喉科学会が2017年9月に発表した調査結果によると、全国8千の耳鼻科標榜の医療機関から2015~2016年の2年間で、おたふくかぜを起因とする難聴が314人と報告されている。

10歳未満が49%となるなど、若年層が大半を占めている(上図)。同学会では、「おたふくかぜによる難聴は治療が難しい。ワクチンで防げる難聴であることを知ってほしい」と話している。

おたふくかぜの予防接種を実施していない自治体には、東京都の補助事業を活用した制度導入を求めたい。

インフルエンザワクチン

◇10月から助成開始

さらに中野区は10月から子どものインフルエンザワクチンの助成制度をスタートさせた。これで、東京都内で、主に“就学児前の子ども”を対象にインフルエンザの予防接種費用を独自に助成する自治体は11区市町村となった(表2)。

図2_東京のインフルエンザワクチン助成状況(2017年度)

ワクチンが足りない

2015年にインフルエンザワクチンの4価化とそれに伴う卸価格の引き上げは医療現場に大きな混乱をもたらしたが、今年は、国のワクチン製造株決定に関する通知が1カ月余り遅れたほか、製造量も昨年の2784万本(1ml換算)から256万本ほど少なくなる見通しだ。

厚生労働省では「13歳以上の者が接種を受ける場合は、医師が特に必要と認める場合を除いて1回接種である」との周知等を行っていくという。
不足しているのはインフルエンザワクチンだけではない。日本脳炎、MR、B型肝炎などのワクチン不足が毎年発生し、子どもへの定期接種すら困難な状況が生じている。
これはワクチンの製造・供給・分配が製薬メーカー、卸業者、そして自治体任せになっていることに大きな問題がある。

本紙前号で報道したように、協会は10月、国に対して要望書を提出し、国の責任で、「脆弱なワクチン供給体制」の抜本的な改善に取り組むよう求めている。

(『東京保険医新聞』2017年11月5日号掲載)

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