インフルエンザワクチン不足で要請 厚労省「供給体制の抜本改革が必要」

公開日 2017年12月26日

171207_厚労省レクチャー

東京保険医協会と大阪府保険医協会は12月7日、国会内で厚労省からインフルエンザワクチンの供給状況についてレクチャーを受けた。

はじめに両協会は、(1)インフルエンザワクチン供給不足の実態調査、(2)供給不足の原因と再発防止策、(3)製薬メーカー、卸業者、各自治体まかせの「脆弱なワクチン供給体制」の抜本的な改善、の3点を緊急要望書を、連名で提出した。

厚労省は、現在のインフルエンザワクチン不足について、今年度新たに導入した埼玉株の増殖率が著しく低いことが製造過程で判明したため、急遽昨年と同じ香港株に切り替えたため、供給ペースが例年にくらべて1カ月ほど遅れている。供給量も昨年の使用量を下回る見込みだが、原則として健康成人の1回接種を徹底することにより不足分を補えるという見解を示した。

阪大微研のワクチンが再検定となり、出荷停止となった問題では、再検定の結果、11月27日までにはすべて合格しており医療機関への入庫は遅れるが必ず届く、とした。しかし、再検定の理由は厚労省では把握しておらず、製造販売元の阪大微研も「検定を行った国立感染症研究所の判断のため不明」としており、理由を知るのは感染研だけだ。協会は検定内容と結果を公開し、透明性を確保するよう要請した。

さらに、熊本地震による化血研被災や、株選定の遅れなど、突発的な事態にも対応できるよう、余裕のある製造計画と安定供給ができる体制を構築するよう要望した。厚労省は「体制として脆弱ではないかという指摘は重く受け止めたい。供給体制の抜本改革が必要だとの認識はある」と応じ、前向きな姿勢を示した。

一方、今シーズン実際に供給されているワクチンの実数は厚労省として把握しているものの、各製造メーカーに配慮して非公開としていることが明らかになった。国民全体のいのちと健康に関わる情報であり、協会は情報公開するよう要求した。

(『東京保険医新聞』2017年12月25日号掲載)