保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

【2018年】中医協 新点数を答申

公開日 2018年02月28日

2月7日、中央社会保険医療協議会は2018年度診療報酬改定を厚労大臣に答申した。改定は▽地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・連携の強化、▽医療従事者の負担軽減・働き方改革の推進、▽効率化・適正化による制度の持続可能性の強化―などに重点を置いた内容となっている。主要な改定項目(抜粋)を解説する。

かかりつけ医機能を評価―初診料に加算

かかりつけ医機能を有する医療機関において、専門医療機関への受診の要否の判断等を含めた診療機能を評価するとし、初診料に「機能強化加算」80点が新設される。算定要件は地域包括診療加算、地域包括診療料、小児かかりつけ診療料など、「かかりつけ医機能」に係る診療報酬を届け出た医療機関が加算できる(表1)

表1 かかりつけ医機能を有する医療機関 初診の評価
(新)初診料 機能強化加算:80点
[算定要件]
以下に掲げる管理料等を届け出ている保険医療機関(診療所又は 200 床未満の保険医療機関に限る。)で、初診時に、所定の点数に加算する。
地域包括診療加算 在宅時医学総合管理料
(在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院に限る)
地域包括診療料
認知症地域包括診療加算
認知症地域包括診療料 施設入居時等医学総合管理料
(在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院に限る)
小児かかりつけ診療料

他の特掲診療料の届け出を要件とする分かりにくい仕組みであり、患者への説明が難しくなる恐れがある。さらに、何らかの24時間対応が求められており、実質上、算定できる医療機関は限られる。これらは患者のフリーアクセスの制限だけでなく、登録制による人頭払い制の導入につながる危険性があり注視が必要だ。

紹介状なしで大病院を受診した場合の定額負担徴収を義務付ける地域医療支援病院を、現行の一般病床500床以上から許可病床400床以上に拡大する。

オンライン診療料・医学管理料・在宅管理料の新設

オンラインによる診療を評価した「オンライン診療料・医学管理料」「オンライン在宅管理料」、「 精神科オンライン在宅管理料」が新設された(表2)。算定対象は特定疾患療養管理料等を算定する再診の患者とし、初診から6カ月以上経過していることが要件となる。

表2 オンライン診療料・医学管理料・在宅管理料の新設
(新) オンライン診療料:70 点(1月につき)

[算定要件]
(1) 初診から6カ月間は毎月同一の医師により対面診療を行っている場合に限る。連続する3カ月は算定できない。
(2) 患者の同意を得た上で、対面診療(対面診療の間隔は3カ月以内)とオンライン診察を組み合わせた療養計画を作成し、当該計画に基づき診察。内容を診療録に添付。
(3) 当該保険医療機関に設置した情報通信機器にて診察。

[施設基準]
(1) 厚生労働省の定める情報通信機器を用いた診療に係る指針等に沿って診療を行う体制を有する。
(2) 緊急時に概ね30 分以内に当該保険医療機関において診察可能な体制を有していること。(小児科療養指導料、てんかん指導料又は難病外来指導管理料の対象患者は除く)
(3) 1カ月当りの再診料等(電話等の再診は除く)及びオンライン診療料の算定回数に占めるオンライン診療料の割合が1割以下。

[オンライン診療料が算定可能な患者]
 以下に掲げる管理料等を算定している初診以外の患者で、かつ、当該管理に係る初診から6カ月以上を経過した患者。

特定疾患療養管理料 地域包括診療料
小児科療養指導料 認知症地域包括診療料
てんかん指導料 生活習慣病管理料
難病外来指導管理料 在宅時医学総合管理料
糖尿病透析予防指導管理料 精神科在宅患者支援管理料

(新)オンライン医学管理料     100点(1月につき)
(新)在宅時医学総合管理料 
   オンライン在宅管理料     100点(1月につき)
(新)精神科在宅患者支援管理料 
   精神科オンライン在宅管理料  100点(1月につき)

医療の本質は、患者と医師が「対面診療」を積み重ねていく中で身体的および精神的状況への理解が深まり、有効な治療へとつながっていくものである。患者の利便性ばかりが強調され、安全性や責任の所在の担保等の議論がされないまま、医療費削減と医療の営利市場化を目的とするような情報通信機器を活用した診療の推進は見直すべきだろう。またエビデンスに基づいた一定のルールなしに、オンラインでの診療を拡大することは都市部の医療機関への受診の集中を招き、地域医療の充実に逆行するとの指摘も出ており、オンライン診療・医学管理(遠隔診療)の診療報酬への評価は慎重に行われるべきである。

現行はオンラインによる診療を電話再診で算定しているが、電話再診の算定要件に「定期的な医学管理を前提として行われる場合は算定できない」ことが追加され、病状の急変等による患者からの電話等で意見を求められた場合に限定した。
改定後は定期的な医学管理をオンラインで行う場合、電話再診は算定できず、オンライン診療料等の要件も満たさなければ保険請求ができないことになる。

抗菌薬を使用しないと加算、後発品促進を強化、向精神薬さらに処方制限

薬剤耐性菌対策として小児科外来診療料および小児かかりつけ診療料に「小児抗菌薬適正使用支援加算」80点が新設された(表3)

表3 外来診療等における抗菌薬の適正使用の推進
(新) 小児抗菌薬適正使用支援加算:80 点

小児科外来診療料及び小児かかりつけ診療料において、抗菌薬の適正使用に資する加算を新設。

[算定要件]
急性上気道感染症又は急性下痢症で受診した小児で、初診の場合に限り、診察の結果、抗菌薬投与の必要性が認められず抗菌薬を使用しないものに対して、抗菌薬の使用が必要でない説明など療養上必要な指導を行った場合に算定。
なお、基礎疾患のない学童期以降の患者については、「抗微生物薬適正使用の手引き」に則した療養上必要な説明及び治療を行っていること。

[施設基準]
(1)感染症の研修会等に定期的に参加。
(2)病院においては、データ提出加算2を算定。

※表1~3 中医協 資料「個別改定項目について」等(2018.2.7)から

急性上気道感染症または急性下痢症での初診時に限り、抗菌薬を使用しない場合に、抗菌薬が必要でない説明などの指導を行った時に算定する。薬剤に関する説明は当然、基本診療料に含まれているものであるが、そもそも使用しない薬剤に関する説明が必要なのかどうか、現場に混乱を招く点数化との指摘もある。

後発品の調剤割合が著しく低い薬局の調剤基本料の減算とともに、医療機関にも後発品への誘導が示された。院内処方では、後発品の新たな数量シェア目標を踏まえ、処方料の外来後発医薬品使用体制加算が後発品の使用割合に応じてさらに1区分追加される。院外処方では、現行の処方せん料の一般名処方加算も、より一般名処方が推進されるよう加算1、2ともに引き上げられた。

処方せん様式も、分割調剤の指示の取り扱いを明確化するため、分割調剤に係る様式が追加される。分割の回数は3回までとされた。

向精神薬処方の処方料・処方せん料が減算となる多剤投与の範囲を拡大するとともに、多剤処方時の処方料・処方せん料がそれぞれ2点引き下げられる。さらに、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬・睡眠薬を12カ月以上にわたって継続して処方している場合、処方料を29点、処方せん料を40点とすることも盛り込まれた。

訪問診療料が複数カ所で可能に、在医総管等の回数による差別化、終末期ガイドラインを強要

在宅患者訪問診療料は1医療機関のみの算定が認められていたが、在宅時(施設入居時等)医学総合管理料(以下、在医総管等)の算定要件を満たす医療機関の依頼を受けて、他の医療機関が訪問診療を行った場合の「在宅患者訪問診療料2」(同一建物居住者以外830点、同一建物居住者178点)が新設された。

ただし算定期間(6カ月を限度)や月の回数の制限(月1回を限度)が定められたため、褥瘡などの疾患により治療期間が長期にわたる場合、算定制限により必要な治療が中断されてしまう事例も想定される。

在医総管等で月2回訪問診療を行っている場合、要介護度や認知症高齢者の日常生活自立度のランクが一定以上で、処置(簡単な処置を除く)を行っているなどの患者に対して「包括的支援加算」150点が新設される一方、右記対象者以外は評価が下がり、それぞれ100点引き下げられた。同時に、月1回の訪問診療を行っている場合の在医総管等が50点引き上げられたため、要介護度など一定以上の状態でない患者については、月2回の訪問診療から月1回へと、誘導を図るものであろう。

さらに在宅療養支援診療所(在支診)以外の診療所が、単独または連携医療機関等と協働して、24時間の往診体制等を確保した上で訪問診療を提供する場合について、在医総管等の加算として継続診療加算216点が新設された。

在宅ターミナルケア加算の要件に「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」等を踏まえた対応が追加され、500点引き上げられた。終末期医療のあり方は人間の尊厳を守り、自己決定権を尊重して判断されるべきもので、現場の医療機関と患者の判断にゆだねるべきであろう。

要介護・要支援者への維持期・生活期リハ―経過措置を1年延長

要介護・要支援者に対する維持期・生活期の疾患別リハビリテーション料について、経過措置を1年間に限り延長し、2019年4月以降算定を認めない取り扱いとした。

明細書の発行―自己負担なしの患者にも義務化

明細書の無償発行が原則義務化されている医療機関・薬局では、公費併用等により自己負担がない患者への明細書の発行は、患者からの求めがあった時に限られている。改定後は患者に対する情報提供を理由に、療養担当規則を改定し、無料発行を原則義務とされた。明細書を不要とする患者も多く、現行の取り扱いで問題ないと思われる。

一般病棟入院料を大再編、療養病床20対1に一本化

入院患者の医療の必要性に応じた適切な評価を選択できるよう、実績に応じた評価体系を導入し、将来の入院医療ニーズの変化にも弾力的に対応可能とするとし、今までの体系を大幅に再編・統合する。現行の一般病棟入院基本料(7対1、10対1、13対1、15対1)を新たに、

「急性期一般入院基本料」(7対1と10対1)と「地域一般入院基本料」(13対1と15対1)に分け、急性期一般入院基本料は7段階、地域一般入院基本料は3段階で評価を設ける(表4)

180215_02【表4】一般病棟入院基本料(7対1、10対1)の再編・統合のイメージ

重症度、医療・看護必要度の該当患者割合を現行の7対1の25%以上を30%以上(定義見直しにより現行定義では26・6%)に引き上げた。7対1から10対1への移行を促し、医療費を抑制する狙いだ。現行の10対1は入院料4とし、重症度割合はほぼ現状維持となった。これ以上の患者の絞り込みは医療現場に混乱と疲弊をもたらし、患者を入院から遠ざけることになる。

療養病床入院基本料は、20対1に一本化し、医療区分2・3の該当割合に応じた療養病棟入院料1と2の2段階の評価とする。25対1については、当面2年間の経過措置とされたが、地域医療に果たす役割を再評価し、廃止そのものを見直すべきだろう。

(『東京保険医新聞』2018年2月15日号掲載)