子どもの定期接種、県境越えて「相互乗入」―町田市と相模原市

公開日 2018年06月07日

2018年4月から、町田市と相模原市が県境を越えた子どもの定期予防接種(BCGを含む)を開始した。

町田市は、神奈川県下の3市(相模原市、横浜市、川崎市)に隣接しており、町田市医師会からの要請もあり、以前から県境を越えた乗入の検討を進めてきた。本年4月から実現した県境を越えた相模原市との“相互乗入”は、極めて先進的な取り組みである。

町田市在住の子どもが相模原市で接種を希望する場合は、希望する相模原市の「協力医療機関」に予約を行い、窓口に用意されている予診票に記入のうえ接種を受ける。その際、母子健康手帳の持参が必須となる。

定期予防接種は、通常居住する自治体で接種を受けるのが一般的である。しかし、子どもが日常的に通院する医療機関が、たまたま河川・道路を隔てた隣の自治体に立地している場合、原則として当該小児科では「定期接種」として接種を受けることができなかった。

そこで、事前に自治体間で協議のうえ、東京都内では「23区」や「南多摩5市」のような圏域単位で、あるいは「府中市・調布市間」のような個別の自治体間で“相互乗入”を行っている。いずれも各自治体の指定(契約)医療機関であれば、前述のような場合であっても居住地以外の医療機関で「定期接種」として接種を受けることができる。

全国的には、県下全域での“相互乗入”を実施している府県がほとんどで、県境を越えた相互乗入は、長らく実現が困難とされてきた。

県境を越えた“相互乗入”実現を期待する声は、埼玉県や神奈川県と隣接する他の都内自治体住民からも聞こえてきている。保護者が窓口で接種費用を立て替える必要もなく、副反応への公費補償もある。住民本位のこうした取り組みが都内でいっそう広がるよう、協会としても声をあげていきたい。

(『東京保険医新聞』2018年6月5日号掲載)

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