保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

麻しん・風しん 成人のワクチン接種費用助成/台東区・港区

公開日 2018年06月21日

台東区 「男性」への助成を再開

2012年から2013年の大規模な風しん流行を受け、東京都と都内区市町村は「成人男女への風しん予防接種の費用助成」を導入した。その後、東京都は2013年9月末で「男性」に対する自治体への財政支援を打ち切ったこともあり、現在では多くの区市町村で「妊娠を希望・予定する女性(主に19歳以上)」への助成のみ継続している。

しかし、東京都からの財政支援がなくなった以降も、再び風しんの流行を繰り返さないために、昨年4月時点で都内12の区が独自に財源を捻出して「成人男性」への助成事業を継続していた。このうち渋谷区では、いったんは東京都と同じく2013年9月末で男性への助成を終了したものの、昨年4月から一部男性への助成を再開した。

これにつづいて、台東区でも2018年4月から一部男性への助成を再開(表1)。

表1 台東区の「風しん予防接種の費用助成」
19歳以上で、抗体検査の結果、HI法で16倍以下・EIA法で8.0未満の下記の区民
           1.妊娠を希望する女性
【新】2.「1」と同居するパートナー 
※過去に区の助成を利用して接種したことがある方、風しん含有ワクチンを2回以上接種したことがある方を除く

このため今年度は都内13の区が、女性だけでなく「成人男性」への助成を行っている(表2)。

表2 2018年度・成人風しんワクチン費用助成の概要
  女性 男性     女性 男性
千代田区 ◎ ―   八王子市 ◎ ー
中央区 ◎ ◎   立川市 ○ ー
港区 ○ ー   武蔵野市 ○ ー
新宿区 ○ ○   三鷹市 ○ ー
文京区 ◎ ◎   青梅市 ○ ー
台東区
(男性への助成再開)
◎ ◎   府中市 ○ ー
  昭島市 ◎ ー
  調布市 ○ ー
墨田区 ◎ ◎   町田市 ○ ー
江東区 ◎ ―   小金井市 ○ ー
品川区 ◎ ◎   小平市 ○ ー
目黒区 ◎ ◎   日野市 ◎ ー
大田区 ◎ ―   東村山市 ○ ー
世田谷区 ○ ―   国分寺市 ○ ー
渋谷区 ◎ ◎   国立市 ○ ー
中野区 ◎ ○   福生市 ○ ー
杉並区 ◎ ○   狛江市 ○ ー
豊島区 ◎ ◎   東大和市 ◎ ー
北区 ◎ ―   清瀬市 ○ ー
荒川区 ◎ ◎   東久留米市 ○ ー
板橋区 ◎ ―   武蔵村山市 ◎ ー
練馬区 ◎ ◎   多摩市 ◎ ー
足立区 ○ ―   稲城市 ○ ー
葛飾区 ○ ―   羽村市 ○ ー
江戸川区 ○ ―   あきる野市 ○ ー
◎:無料
○:自己負担あり
ー:助成なし
  西東京市 ○ ー
  瑞穂町 ○ ー
  日の出町 ◎ ー
  檜原村 ◎ ー
  奥多摩町 ◎ ー

国は東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年度までに“風しん排除”を目指すとしている。しかし、先の大規模流行が20~40代の成人男性を中心に広まり、結果として、女性が妊娠中に風しんに罹患したことで、出生児が眼や耳、心臓に障害を持って生まれる先天性風しん症候群(CRS)が45例(東京は16例)も報告された。国立感染症研究所の追跡調査では、うち11例のCRS児がその後に死亡している(10例が生後6カ月以内に、1例が生後15カ月に死亡)。

海外から来日する外国人旅行者数は約2869万人(2017年、日本政府観光局)と過去最高を更新し、前年比で約465万人増となった。また海外旅行等から帰国した日本人も約1788万人(2017年、法務省入国管理局)で、前年比で約80万人増となった。今年に入って沖縄県中心に全国に流行が拡大した「はしか(麻しん)」も、2015年3月にWHOから“麻しん排除状態”と認定されたばかりだが、海外からの旅行者が契機となって突発的な流行へとつながった。

港区  「定期未接種の子ども」と「0歳児の同居者」に助成開始

港区では「麻しん(はしか)」対策の一貫として、2018年4月から新たに3つの接種費用の助成制度を開始した。概ね対象は「定期接種の接種もれ児」と「0歳児と同居する19歳以上の大人」となる(表3)。

表3 港区の「麻しん予防接種の費用助成」
  【新】定期接種の未接種児向け
(2~18歳の区民)
【新】0歳児と同居する保護者等向け(抗体価が低い19歳以上の区民)
対象者 定期接種の接種機会を
逸した子ども(※1)
0歳児と同居する19歳以上の区民で麻しんの抗体価が低い方(※2、3)
助成額
(接種費用)
全額助成 MRワクチン:6,000円を上限に助成
麻しん単独:3,000円を上限に助成
助成回数 通算2回まで
(年度内での利用は1回まで)
接種1回分
期限 2019年3月31日まで
※1:定期接種の対象年齢時の子どもは除く
※2:別途、対象者には「麻しんの抗体検査」の費用助成(全額公費)も行っている。
※3:麻しんの抗体検査の結果、抗体価がEIA法で16.0未満、PA法で256倍未満の場合に限る。なお過去に「明らかに麻しん含有ワクチンの接種歴がある者」および「麻しんの罹患歴がある者」は助成の対象外。

前者は通常、定期接種として1歳(第1期)と小学校入学前の前年度(第2期)にそれぞれ計2回の接種を受けるべきところ、特に第2期の接種率向上が課題であった。

港区を除いた22区では、すでに接種漏れ児(未接種児)に対するフォローアップとして、MRワクチンの接種費用の助成制度を導入している。今回、港区が新たに導入したことで、23区では同様の制度が整備されたことになる。

さらに後者は麻しん対策の一環だが、0歳児と同居する19歳以上の区民に対して「麻しんの抗体検査の費用」と「MRワクチンまたは麻しん単独ワクチンの接種費用」を助成するものだ。このうち、ワクチンの接種費用の助成が受けられるのは抗体検査によって“抗体価が低い”ことが判明した同居者(保護者など)に限られ、過去に麻しん含有ワクチンの接種歴がないこと等が条件となる。

麻しんをめぐっては、本年3月から沖縄県で海外からの渡航者を介した流行が拡大しており、このうち0歳児の罹患も報告されている。過去、麻しんの流行は2016年夏にも関西空港の職員を発端に、千葉県のコンサート会場、東京都立川市のイベント会場と次々に感染が拡大したことは記憶に新しい。

今回の事態を重くみた厚生労働省も、4月11日付の通知「麻しん発生報告数の増加に伴う注意喚起について(協力依頼)」を全国に発出して警戒を呼びかけているほか、沖縄県と県下の41市町村は「生後6カ月~1歳未満の子ども」を対象にMRワクチン等の接種費用の助成を始めている。

(『東京保険医新聞』2018年6月15日号掲載)

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