【レポート】原水爆禁止2018年世界大会 in広島

公開日 2018年09月03日

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被爆の体験を次世代に引き継ぎ 核のない世界をめざす

8月4日から6日にかけて広島市内で原水爆禁止2018年世界大会・広島が開催された。東京反核医師の会からは片倉和彦代表委員(協会理事)、向山新代表委員(協会会員)、渡辺吉明運営委員(東京歯科協会会員)、田﨑ゆき運営委員(協会理事)の4人が参加し、5日に行われた分科会「被爆電車に乗って」の企画・運営に協力した。

核兵器禁止条約と核兵器不拡散条約(NPT)

4日は開会総会が開催され、5000人(主催者発表)が参加した。開会挨拶では、全労連の小田川義和氏が、昨年採択された核兵器禁止条約と今年実現した南北・米朝首脳会談に触れ、核のない朝鮮半島の実現の大きなチャンスであるとし、今後も市民社会の力が必要であること、ヒバクシャ署名を中心とした運動を拡大していくことの重要性を訴えた。

政府代表からの挨拶では、アイルランドの外務貿易省軍縮不拡散局副長のジェイミー・ウォルシュ氏が、政府と市民社会相互の信頼の上に成り立った世界秩序の構築が必要だと述べた。核兵器禁止条約が核兵器不拡散条約(NPT)を損なうものであるという批判について、「NPTの最上の道はそれを履行すること。禁止条約は現存の核不拡散体制を補完するものであり、NPTと禁止条約は相互に成り立つものだ」と主張した。
被爆者の藤森俊希氏は禁止条約に背を向け続ける日本政府の姿勢を批判し、「世界には核兵器をなくす知恵を持つ人がいる。核兵器にしがみつく人もいる。どちらが人々を生かすか。被爆者は皆さんとともに核兵器のない世界へ全力を尽くす」と述べた。

また、広島被爆者団体連絡会議からも挨拶があったほか、韓国被爆者団体代表のクォン・ジュノ氏は朝鮮人被爆者の被害が無視されている現状を訴えた。

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東京反核医師の会
分科会・被爆電車に乗って/「当時の電車が今でも動いている」

5日は「被爆電車に乗って」と題した分科会を開催した。原爆のことを学び、今も稼動している被爆電車に乗り、市内の原爆遺構を巡って当時の状況を追体験する企画で、91人が参加した。参加者の半数近くを小・中学生が占め、会場はにぎやかな雰囲気に包まれた。

午前中は、事前に原爆のことをより深く理解するためにアニメ「ヒロシマに一番電車が走った」を上映し、向山代表委員が原爆症について解説した。
午後は被爆電車の学習として、渡辺運営委員が被爆電車の歴史を当時の写真等を紹介しながら説明した。サプライズ企画では片倉代表委員がクイズ大会を開催。成績優秀者には被爆電車や原爆について知識を深められる絵本等がプレゼントされた。

学習が終わると、広島電鉄本社に移動して被爆電車に乗り込んだ。被爆電車が走り出すと、ガイドの方が電車から見える原爆遺構を案内した。
今はにぎやかに栄えている広島市内中心部にも原爆遺構は点々と残っていて、広電本社前から広島駅までの約30分間に多くの遺構を見ることができる。一部改修が行われたものの今でも使用されている荒神橋や、外観に当時の面影を残している福屋百貨店等が紹介された。

電車内では子ども達が原爆遺構や車内の写真を撮ったり、ガイドの説明を聞き、熱心にメモをとる姿が見られた。
参加者からは「被爆電車のことを今回初めて知った。原爆投下3日後には電車が走っていたことにも、被爆電車が今でも現役で動いていることにも驚いた」「知らなかったことが聞けて良かった。子どもに良い経験をさせることができた」などの感想が寄せられた。

(『東京保険医新聞』2018年8月25日号掲載)

 

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