【要望書】風疹の定期接種化に関する緊急要望書

公開日 2018年12月25日

2018年12月21日

厚生労働大臣 根本 匠 殿
厚生労働省 健康局長 宇都宮 啓 殿

東京保険医協会 会長 鶴田 幸男
地域医療部長 森本 玄始

風疹の定期接種化に関する緊急要望書

 厚生労働省は12月13日、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会・感染症部会(合同開催)で、39歳~56歳の男性を対象として風疹の抗体検査を実施し、低抗体価であった対象者にMRワクチンの公費接種を3年間実施することを決定しました。東京保険医協会は、低抗体価の世代に対する風疹の定期接種化を大変歓迎します。

 一方でワクチン分科会では、出席委員から「本来は抗体検査を行わずにワクチン接種が望ましい」、「20代30代も風疹患者が出ている。一緒に対策をしてほしい」など、さまざまな懸念や課題が指摘されました。

 39~56歳の男性対象者の多くは多忙でかつ、風疹への理解が十分でないこともあり、抗体検査のための受診と、低抗体価であった場合の再度の受診が必要なため、ワクチン接種の機会を確保するのは難しい状況です。抗体検査を前提としていては、MRワクチンを接種する対象者は限定的となり、2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでに、風疹流行を抑えることは困難です。MRワクチンの接種は麻疹の輸入感染に対しても効果を発揮し、抗体検査なしにMRワクチンを接種することがオリンピックに向けた最も有効な感染症対策です。
当会では11月16日~11月21日にかけて、「予防接種に関する緊急アンケート」を実施し、都内851人の会員から回答を得ました※(回収率22.5%)。

 集計の結果、MRワクチンは、内科の33%、小児科の27%で「足りない」と回答しました。全科合計では32%が「足りない」と回答しています。アンケートには、「風疹抗体価の低かった人に予定していたMRワクチンが納入されない」、「子どもの定期接種分をなんとか確保している状況、大人の接種は申し訳ないが断らざるをえない」など、風疹流行による接種希望者の増加に対応しきれない現状が記載されています。定期接種化にあたっては、MRワクチンの増産をはかり、安定した供給体制を確立することが喫緊の課題です。
国民のいのちと健康を守るため、国の責任で以下の対応を早急に行うよう要望します。

1.首都圏4県と愛知、大阪、福岡7都府県の風疹流行の大部分を占める地域の30~50歳代の男女に対し、抗体検査なしにMRワクチンを公費接種すること
2.MRワクチンの増産と年間製造量の見通し、具体的な接種スケジュールを早急に明らかにし、ワクチン不足が起こらない供給体制を確立すること

以上

181221【要望書】風疹の定期接種化に関する緊急要望書[PDF:95KB]
181221【別紙1】「予防接種に関する緊急アンケート」調査結果概要/東京保険医協会[PDF:319KB]

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