「ワクチン不足解消を」東京・大阪・千葉の3協会

公開日 2018年12月27日

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「インフルエンザワクチンは11月中に十分な供給をしていただきたい」吉田副会長・右から2人目

供給体制の改善を要請



厚労省「供給時期と接種時期のミスマッチ」

東京保険医協会、大阪府保険医協会、千葉県保険医協会の3協会は12月6日、国会内で厚労省からインフルエンザワクチンとMRワクチンの供給状況についてレクチャーを受けた。

東京協会からは吉田副会長、細部理事が参加した。

はじめに、①ワクチン供給不足の実態を調査し明らかにすること、②ワクチンが供給不足に陥った原因と再発防止策を明示すること、③製薬メーカー、卸業者、各自治体まかせの「脆弱なワクチン供給体制」の抜本的な改善に取り組むこと、④風疹の流行を防ぐため、30~50歳代の低抗体価の世代に対して、MRワクチンを抗体検査なしに公費で接種できるよう、ワクチンの増産など供給体制を確立すること、の4点を求める緊急要望書を3協会の連名で厚労省担当者に手渡した。

厚労省は、「インフルエンザワクチンは、供給不足になった昨年を除いた過去5年の需要を超える供給をシーズントータルでは行える見込み」との認識を示す一方、現場でワクチン不足になっている原因を、ワクチンの供給時期と接種希望時期のミスマッチにあると分析した。インフルエンザの流行のピークは1月~3月なので、(ワクチン供給が潤沢になる)12月中旬の接種が最善だと語り、11月に多くなる接種希望者の「交通整理」を医療機関に要望した。

これに対し、参加役員からは「シーズントータルではなく、需要のある時期にどれだけ供給できるかが現場では重要」「本来、11月中に接種してもらえるのはありがたいことだ。免疫は5カ月持続するので11月接種で問題ない。製造の前倒しを行えないか」と供給体制の改善を申し入れた。厚労省は「WHOを中心とした株選定の流れの時期もあり、製造の前倒しは簡単ではないが、問題点は認識している」と述べた。

 



風疹低抗体価の世代へ定期接種

首都圏を中心に拡大を続ける風疹対策として、厚労省は12月13日、39~56歳の男性に対して、MRワクチンを抗体検査とセットで定期接種化することを決定した。協会は“抗体検査を行うことなく”公費によるワクチン接種の実施を求めたが、厚労省は30歳から50歳代の抗体価の低い世代であっても8割は抗体を保有しているとして、抗体検査が前提との立場を崩さなかった。

抗体検査についてはHI法にこだわらず、他の検査法も公費助成の対象として検査キットを確保する姿勢を示した。実施時期については調整中としながらも可能な限り早い実施を目指すとしている。MRワクチンの供給不足の懸念に対してはワクチンメーカーに増産の依頼をしており、目途は立ちつつあるとの回答を得た。また、接種率を高めるために健康診断を利用した職域での抗体検査実施などの検討を進めていることを明らかにした。

(『東京保険医新聞』2018年12月25日号掲載)