支払基金東京支部と懇談―ベンゾジアゼピン長期処方減算、通知なければ査定なし

公開日 2019年01月24日

190125_01_支払基金との懇談


審査指導対策部は2018年12月6日、協会セミナールームにて社会保険診療報酬支払基金東京支部(以下、支払基金)との懇談を実施した。協会からは須田副会長、浜野審査指導対策部長、赤羽根審査対策部員ら7人が出席し、支払基金からは医療顧問・審査企画部長はじめ5人が出席した。

今回の懇談では特に、2018年4月実施の診療報酬改定で新設されたベンゾジアゼピン長期処方減算の規定について、請求上の取り扱いを尋ねた(下表)。

支払基金との主な懇談項目
1.ベンゾジアゼピン受容体作動薬について

①保険医療機関が、「1年以上連続して同一の成分を1日当たり同一用量で処方」したか否かを、どのように把握するのか。
②減算の除外規定として「適切な研修を受けた医師が行う場合」が明記されているが、明細書の記載要領では特に「摘要」欄記載は求められていない。減算しないで請求した場合は、「摘要」欄への記載がなくとも、適切な研修を受けたと見なすのか。
2.減点・返戻理由を具体的に記載するための作業の進捗状況について

審査における減点理由が分かりづらい、返戻理由が付箋に書いてあるが理解できないとの声が多い。
2016年4月からは減点の具体的理由を記載するようになったとの通知があり、2017年2月の懇談の際には、①数千件の定型文書を作成し査定にあった内容を選択していること、②査定理由Dについては、理由を明確にするためしっかり理由を付記するように努め、抜粋版で簡略化することなど3年計画で進めていることなどの説明があった。その後の進捗状況を教示されたい。
3.医療機関の責任でない資格喪失後の受診については返戻しないこと
4.2018年10月から始まったレセプト記載における一部電子コード化について猶予期間を延長すること

医療機関が1年以上同一用量で処方したことをどのように把握するかについては、支払基金で行っている縦覧点検は6カ月までしかデータを保持していないため1次審査では査定できないが、保険者は1年以上縦覧で点検可能なため保険者再審査で申し出される可能性はあるとの説明があった。

また、減算の除外規定として「適切な研修を受けた医師が行う場合」があるが、研修を受けた旨をレセプトに記載する必要があるのかについては、「レセプトの記載要領通知では研修を受けた旨の記載義務は明記されていないが、支払基金として現在厚労省に確認中である。今後、厚労省がレセプト記載を求めてくれば支払基金もそれに従って対応するが、特に通知が出なければ保険者から再審査請求があっても査定、または医療機関に返戻することはない」との説明があった。

その他、会員から寄せられた減点・返戻の相談について支払基金の見解を訊ねるとともに減点理由の通知のさらなる改善や、2018年10月から義務づけられたレセプト記載の一部電子コード化について猶予期間を延長するよう要請した。

減点理由の具体的記載 「わかりやすい説明に努力」

支払基金からは減点理由の通知改善については、引き続きわかりやすい説明に努めるとの回答があり、併せて一部電子コード化(選択式記載コード)については、コード化未対応のレセプトについて、基本的には返戻あるいは、データの差し替えをお願いするとの説明があった。
協会は、今後も定期的に支払基金との懇談の場を設ける予定だ。

(『東京保険医新聞』2019年1月25日号掲載)