厚労省要請・記者会見―風疹予防接種の充実を

公開日 2019年01月24日

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厚労省は39歳~56歳の男性を対象として風疹の抗体検査を実施し、低抗体価であった対象者にMRワクチンの公費接種を3年間実施する方針を示した。これを受け、協会は12月21日、千葉県保険医協会、風疹をなくそうの会『hand in hand』、NPO法人VPDを知って、子どもを守ろうの会と共同で、抗体検査なしでのMRワクチンの公費接種と供給体制の確立を求め、厚労省要請・記者会見を実施し、NHKニュースで報道された。

厚労省要請では、結核感染症課三宅邦明課長に「風疹の定期接種化に関する緊急要望書」を手渡し、①首都圏4県と愛知、大阪、福岡7都府県の風疹流行の大部分を占める地域の30~50歳代の男女に対し、抗体検査なしにMRワクチンを公費接種すること、②MRワクチンの増産と年間製造量の見通し、具体的な接種スケジュールを早急に明らかにし、ワクチン不足が起こらない供給体制を確立すること―の2点を協会として要望した。

三宅課長は、国産ワクチンについては、製造メーカーに増産の要請をしており、3月以降に増産分が出荷され、必要量を確保できるとの見込みを示し、国産ワクチンの増産に全力を尽くしたいと述べた。「抗体検査なしに」との要望に対しては、理想ではあるが、①ワクチンの供給量、②費用の面から国の制度として行うのはハードルが高い。国が実施する定期接種とは別に、各自治体・都道府県で実施してきた予防接種事業については個人予防として今まで以上に継続して欲しいとした。また、今回の定期接種と各自治体・都道府県の予防接種事業の対象者や抗体検査の基準値などが異なっている場合でも、別の制度であり、対象者毎にそれぞれの基準で実施することになるだろうとの見解を示した。

2020年東京オリンピック・パラリンピックの時点で対象世代に調査を実施し、MRワクチン接種が進んでいないようであれば、対応を考えなければいけないとも述べた。職域での健康診断で風疹抗体検査を実施し、低抗体価と判明した対象者を接種に繋げるための取り組みに関しては、職場への啓発ポスター掲示や自治体からの電話での接種勧奨を繰り返すことなどが考えられるとした。

記者会見では、協会が昨年11月に実施した「予防接種に関する緊急会員アンケート」の結果も踏まえ、供給不足が繰り返されるワクチン供給体制の問題点をマスコミにアピールした。

(『東京保険医新聞』2019年1月25日号掲載)

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