公開日 2019年05月29日
政策調査部は4月13日、小池晃参議院議員(医師・東京保険医協会会員/共産)を招き、政策懇談会を開催し50人が参加した。政策懇談会は、各政党の国会議員を招いて不定期で開催している(2017年には、自見はなこ参議院議員/自民、櫻井充参議院議員/国民を招いた)。
小池議員は、森友加計問題、統計のねつ造、安倍晋三首相らの意向を「忖度し国直轄の調査に引き上げた」と塚田一郎元国土交通副大臣が言及した下関北九州道路問題などを例にあげ、「政治の私物化、税金を食い物にする利権政治の根底には、安倍政権のモラル大崩壊があり、桜田義孝元五輪相の暴言にその政治姿勢が如実にあらわれている。国民はウソのない、当たり前の政治を求めている」と述べた。
消費税の医療機関の損税問題について、①そもそも加算額自体が不十分、②建物の建替えや医療機器の購入などの設備投資は、診療報酬上の手当では回収できない、③累次の診療報酬改定で、かつて加算された報酬も“マイナス”“包括化”“項目廃止”されており検証できない、④社会政策上の配慮で「非課税」にしながら、国民の保険料負担・窓口負担に転嫁されている―などの矛盾を指摘し、10%増税中止とともに、「ゼロ税率」適用の実現を訴えた。
また、消費税の廃止をめざす共産党の財源政策(下表)を紹介し、「社会保障予算の話になると与党は財源問題を口にするが、墜落した欠陥機・最新鋭ステルス戦闘機F35Aは1機116億円する。安倍政権はF35Bと合わせて147機を導入する計画だ。F35の“爆買い”を決めたときに、財源問題など触れもしなかった」と厳しく批判し、社会保障の充実へ舵を切ることは可能だと強調した。
保険証のオンライン資格確認等を盛り込んだ「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案」について、“反対”は共産党のみで、4月12日に衆議院厚労委員会で可決されたと報告した。
「この法案はマイナンバーカードを普及させることが狙いで、医療現場に混乱をもたらすだけでなく、最終的には医療情報とマイナンバーの紐付けにつながる危険性が高い。医療・介護のビックデータの民間利活用と合わせて国民のプライバシーが丸裸になる恐れがある」と警鐘を鳴らした。
妊婦加算の凍結について、「妊婦の診療にあたって、医師は注意を払わなければならず、妊婦加算の主旨には道理がある。妊婦の窓口負担を解消し、政策として10割給付にすべきところを、与党政治家の発言によって、“凍結”という形で診療報酬が歪められてしまったことが大きな問題だ」と指摘した。
小池議員は、乳腺外科医裁判、特養あずみの里業務上過失致死事件裁判に触れ、「医療・介護従事者が無実の罪を着せられることがあってはならない。乳腺外科医裁判に対する東京保険医協会の活動は先進的で、医療現場を励ます力になっている」と述べた。
最後に、憲法で縛られるべき首相が提起する憲法「改定」の危険性、沖縄の辺野古新基地建設と原発再稼働の中止を参加者に訴え、市民と野党の共闘の状況を報告した。講演後はフロアーから多くの質疑が出され、小池議員との活発な意見交換が行われた。
(『東京保険医新聞』2019年4月25日号掲載)