公開日 2019年05月29日
協会は、『個別指導』時に帯同する弁護士を紹介している。
3月28日、審査指導対策部は「個別指導帯同弁護士懇談会」を協会内で開催した。懇談には、帯同を行っている東京中央法律事務所、江東総合法律事務所、三多摩法律事務所から5人の弁護士、協会からは部員等12人が参加した。各弁護士から帯同経験による教訓や課題について報告を受けた。
▼増加する『再指導』
東京都においては、『個別指導』に選定される理由のなかで、『新規個別指導』や『個別指導』の結果、再指導となるケースが極めて多い。
例えば、2017年度の診療所『個別指導』の選定理由では、「再指導」が84件(76・3%)となっている。この間、「情報提供」による『個別指導』は20~30件で推移しているが、再指導が急増しているのが特徴だ。
また、診療所の『個別指導』全体の件数も2014、15年度は年55件で推移していたものの、2016年度には79件、2017年度には110件と急増している。
▼日常のカルテ整備から
『個別指導』件数が急増している中、各弁護士は日常のカルテ整備が重要であると強調した。
『監査』をめぐり裁判になった事例では、電子カルテの修正履歴の提出を求められ、「直前の修正を診療報酬請求の根拠として認めない」との主張が指導側から行われたこともある。
「直前に『個別指導』対象の電子カルテの修正はすべきではないと依頼者には伝えている」、「東京都においても、『新規個別指導』に開業1年程度の全保険医療機関が呼ばれる状況になっている。不安であれば、指導通知が来ていない段階で保険医協会に相談しておくべき」などの発言が相次いだ。
▼恫喝的な指導を防ぐため
弁護士帯同と録音を
録音はしないとの依頼者の意志が強かったため、録音媒体を持たずに帯同したところ、医療指導官の態度が恫喝的であったという。「『個別指導』時に録音は欠かせない」帯同経験から導き出された教訓だ。
また、「このカルテ記載では、診療報酬算定根拠が曖昧」との指摘に加えて、被指導者を揶揄するような発言もあった。弁護士が帯同していても、録音されていなければ態度が一変することもある。また、「録音した場合にはお目こぼしはできなくなる」との発言があった事例も紹介された。
こうした医療指導官が一部でも存在する以上、弁護士の帯同と録音、この2つは欠かせないとの指摘も出された。
▼協会と弁護士との連携で指導の改善を目指す
本来、『個別指導』は『監査』ではなく、行政手続法に基づき懇切丁寧に、保険医を指導する内容でなければならない。この間、保団連を通した厚生労働省交渉等でも、指導と言いながら監査の手法をとるような実態を是正すること、また問題のある指導官に対する厚労省としての監督を強化するよう、協会は強く要請している。
今回の懇談会でも、保険医に対する指導が改善されていくよう、協会と帯同弁護士が連携していくことを改めて確認した。また、帯同経験の報告書を集め、懇談会を今後も開催していくことなど、『個別指導』対策を強化していくことを決めた。
『個別指導』に臨むのは保険医本人である。個別指導の場で実際に行った医療行為を堂々と主張できず、指導官の言うがままに不本意な同意をしてしまわないよう、前もって指摘される内容を想定しておくなど、入念な準備を行い、強い心をもって出席することが大切だ。
(『東京保険医新聞』2019年4月25日号掲載)
『個別指導』のご相談は審査指導対策部までお問合せください。
☎03(5339)3601