被災地支援 破傷風ワクチン無料接種 「多くの人に接種してほしい」

公開日 2019年12月05日

破傷風ワクチン  破傷風ワクチン2
接種の説明を受けるボランティアの男性(左)       接種を受ける男性
無料接種に協力する申理事(右)

 9月から10月にかけて発生した台風15号、19号による被害が各地で相次いだ。協会では、復旧支援のボランティア活動に敬意を表し、ボランティア活動参加者への破傷風ワクチンの無料接種事業を行っており、11月20日現在、43件の申し込みを受けている。
 無料接種に訪れたボランティアと練馬区・関町内科クリニック(協力医療機関)の申偉秀協会理事を取材した。

◆ボランティアの方から

接種を決めた理由
 ボランティアを対象に、無料で破傷風ワクチン接種を行っている医療団体があると耳にしたことがあった。破傷風について調べると、土壌中の破傷風菌によって感染し、発症した場合の致死率が高いことを知り、接種を決めた。
 行政区分にとらわれず都外在住者でも接種できるところが、ありがたい。破傷風の危険性について知らない人が大勢いるので、多くの人に紹介したい。

地域での活動について
 東日本大震災時の復興支援を経て、現在は東久留米市で「助け合おう避難所の会」を立ち上げ、災害時に想定される課題とその啓蒙に取り組んでいる。
 発災から72時間を親子で体験する避難訓練や、防災に関する講演会の運営などを行う中で、市民の当事者意識が薄いこと、医療的補助が必要となった場合の対策が不足していることを実感している。

ボランティア任せの現状
 破傷風ワクチンの接種費用はもちろん、交通費や滞在費などの負担がボランティアに強いられている。また、ボランティア保険は起こったケガや病気を補償するものでしかなく、活動中の健康面については考慮されていない。今後、異常気象による災害がますます増えることが予想されるなかで、ボランティア任せの状況は改善されるべきだ。

◆協力医療機関の医師から

 申理事は、現地で受傷した際には改めて医療機関を受診し、ワクチンを再接種するようアドバイスした。
 東京オリンピック・パラリンピックを来年にひかえ、破傷風に限らず麻疹・風疹を含めた感染症対策は国を挙げて取り組むべき課題だ。協会は、関係各所への要望を続けていく。

◆協会・破傷風ワクチン無料接種事業について

 無料接種は都内18医療機関で実施しており、居住地に関係なく、当事業を利用できる。引き続き、電話、FAX、ホームページから申込みを受け付けている。
  12月20日(金)まで 申込みはこちら
 TEL:03(5339)3601/FAX:03(5339)3449

(『東京保険医新聞』2019年11月25日号掲載)