保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

指導対策講習会に187人、模擬指導に学ぶ指導の実際

公開日 2019年12月27日

 審査指導対策部は11月28日、日本教育会館で指導対策講習会「指導の実際と模擬指導」を開催し、会員・スタッフなど187人が参加した。「模擬指導」では、指導医療官、事務官、被指導者、立会人の役に審査指導対策部員や事務局が扮したほか、帯同弁護士役を田辺幸雄弁護士(江東総合法律事務所)が演じた。

 

東京の指導の動向


 はじめに、「東京都における指導の状況」と題し、事務局から東京の指導の現状を報告した。東京都では2019年度、個別指導は病院24件、診療所388件が計画されている。

 個別指導については高点数による選定が、2018年度は1件、2019年度は0件になっている。一方、理由の大半を占めるのが「情報提供」「再指導」によるもので、18・19年度ともに全体の9割以上を占め、その中でも「再指導」が多くなっている。

 これは近年、個別指導が「再指導」に移行する割合が増加しているとともに、新規個別指導においても「再指導」が一定数存在することが関係している。

 新規個別指導の結果では、「再指導」が2014年度に全体の12%になったところから、17年度では35件(9%)、18年度では52件(10%)と1割前後で推移していることが、厚生局からの開示資料で明らかになり、新規開業医療機関でも日常でのカルテ記載の整備等の対策が重要になっている。

 

実際の指導を再現


 続いて「模擬指導」の実演が行われた。個別指導では、冒頭20分程度で前もって医療機関が提出した『保険医療機関の概要』に基づき、事務的な点検を行う。ここでは「非常勤医師数に増減がないか」「診療時間、休診日は変わっていないか」「標榜科目に変更はないか」などがチェックされる。これらの変更を厚生局に届け出ていなかった場合、届け出るよう指摘される。

 さらに、電子カルテを使用している場合は、「運用管理規定が整備されているか」「運用管理規定に基づいて運用されているか」が点検される。「運用管理規定に基づいた運用」については、事務職員にもID・パスワードを設定してあるかまで確認され、個人ごとに設定していなければ改善するよう求められる。

 一部負担金の徴収では、特定の患者や従業員に対して、負担金の徴収を免除・軽減していないかが重点的にチェックされ、従業員の負担金を免除していることがわかると厳しく改善を求められるため、注意が必要だ。

 

カルテの点検


 カルテ記載については、診断した病名の根拠がきちんと記述されているかを点検される。記述がなかった場合には請求を通すためだけの病名(=保険病名)であると判断され、改善するように求められる。

 なかでも最も重要なのは、特定疾患療養管理料など、算定時に「指導内容の要点をカルテに記載する」とされている点数だ。たとえば、特定疾患療養管理料を算定している日のカルテに、具体的な所見や指導内容が書かれていない場合は管理内容が記載されているとは言えず、算定要件を満たしていないとみなされる。

 また、管理内容がある程度書かれていても、毎回同じ内容だと「コピー&ペースト」=画一的と指摘されてしまうので、記載内容は患者の状態に応じて変える必要がある。

 加えて、近年増えているのが、「厚生労働大臣が定める特定疾患」が主病でないと算定できないとされている特定疾患療養管理料や特定疾患処方管理加算・長期加算を、特定疾患が主病でない患者についても算定している、という指摘だ。電子カルテの種類によっては、特定疾患の病名が診断されると、それが主病でなくても自動的に算定してしまう場合があるためだ。保険請求は通ったとしても、指導時に「全額自主返還」を迫られるおそれがある。自動算定ではなく主病である患者を選んで算定できる設定にしておくことが望ましい。

 立会人役の拝殿清名部員は「個別指導では、医療的な正しさよりも告示・通知に則った扱いかどうかが重視される。高点数のものについては特に追及されやすい。とにかくカルテへの記載を大切にすること、それが自分の身を守ることにつながる」と語った。

 

弁護士帯同の経験


 最後に帯同経験が豊富な田辺幸雄弁護士が、実際の指導の様子や、保険医への指導を法的にどう捉えるかについて解説した。

 田辺氏は、ボイスレコーダーによる録音は必須だと述べた。録音は、事前に厚生局に申し出る際に、理由を問われることがあるが、「後日、指導内容を改めて勉強するため」「今後の診療に生かすため」と申し出れば必ず許可される。

 弁護士が帯同していても、録音機がなければ暴言と取れる発言をする指導医療官も存在するのが現状だ。個別指導を本来の趣旨通り「懇切丁寧」な、「任意の協力に基づいた指導」に近づけていくためにも、弁護士の帯同と録音を積極的に行ってほしいと強調した。

 また、再指導の場合、前回の指摘事項について特に重点的にチェックされるため日頃から注意して診療すること、前回の指導医療官が同席している場合が多いことも併せて報告した。

 指導に関するご相談は、審査指導対策部(TEL:03-5339-3601)まで

 

【写真】指導対策講習会

 

(『東京保険医新聞』2019年12月25日号掲載)