《開業医の働き方調査》約2割が過労死ライン

公開日 2020年02月14日

 政府が打ち出した「働き方改革」に呼応して、医師の働き方がマスコミ等でも取り上げられている。協会は開業医会員4775人を対象に「開業医の働き方実態調査」を実施し、275件の回答を得た(2019年11月FAX送信で実施。回収率5・8%)。

過酷な労働実態が明らかに

 診療時間(標榜時間)と時間外労働をあわせた1週間の労働時間の合計では、「50時間以上60時間未満」が18・9%(50人)、「60時間以上」が17・8%(47人)となり、2割弱が過労死ライン(週60時間労働、月80時間「時間外」労働)で働いている実態が明らかになった(図1)。

kaigyouinohatarakikata1

 1週間の実質の休日は平均1・6日で、週休2日を確保できていない(図2)。睡眠時間は平均6時間で、NHKの国民生活時間調査等で示された睡眠時間よりも短い(図3)。

kaigyouinohatarakikata2kaigyouinohatarakikata3

 労働の加重感は、労働時間が「やや過重」「かなり過重」をあわせて67・2%(176人)となった(図4)。

kaigyouinohatarakikata4

仕事への士気、意欲は維持

 そうした中でも、仕事のやりがいについては、「変わらない」が41・4%(111人)と最多である(図5)。

kaigyouinohatarakikata5

 自由記述欄には、診療行為以外の実務の多さや、診療報酬の低さ、自身の健康への不安など、切実な声が寄せられた。

 調査結果の詳細については今後、「診療研究」誌で座談会を実施し特集する。

自由記載欄から(抜粋)

・訪問診療を行っていると、時間が予定通りにならず、拘束時間が長くなる。医療に加えて労務に神経を使う。
・在宅医療を行っており、常にオンコール状態であるためストレスが大きい。診療以外の雑用(清掃、職員の待遇への配慮etc)に割く時間がかなり長時間に及ぶ。
・標榜時間以外に在宅診療、学校医、主治医意見書をふくむ書類作成の時間等があり、実質休養時間は極めて少ない。
・①1人あたりの保険点数が低く、診療内容と釣り合わない。1人に対する労力を減らせば多数を診れるが、丁寧な診療ができなくなる。②医療スタッフの募集関連でエネルギーをすり減らしている。いつもスタッフを供給してくれる施設の充実が求められている。
・マスコミが開業医の所得について正確に伝えないために患者や一般の方が過度な金持ちのイメージを持っているように思う。医師会や協会から正確な数字を一般の方に伝えてほしい。
・いつまでこのペースで続けられるか不安。健康を損なっている実感がある。
・地区医師会と協力し、留守番体制を敷ける仲間を作って休みを確保するよう努めている。

(『東京保険医新聞』2020年2月5日号掲載)


【談話】調査結果から見えてきたもの