保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

【パブリックコメント】令和2年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理」への意見募集に係るパブリックコメント

公開日 2020年02月20日

 中央社会保険医療議会(中医協)は1月15日、2020年度診療報酬改定骨子をまとめた。東京保険医協会は22日、中医協にパブコメリックコメントを提出した。要求項目を紹介する(※ワク囲み内が協会の要求項目。一部改変)。

「2020年度診療報酬改定骨子」に対する意見

2020年1月22日
 

外来・在宅

Ⅰ-1 かかりつけ医機能の評価

 初・再診料について地域包括診療加算の要件緩和だけではなく、初・再診料本体を大幅に引き上げること

【理由】初・再診料には「診察にあたって基本的な医療の提供に必要な人的・物的コスト(人件費、設備、光熱費、施設整備費等)が含まれる」ことは厚労省自身が認めていることである(平成22929日中医協総会「初・再診料について」NO.2)。全ての医療機関の該当経費が充当されるよう、初・再診料は大幅に引き上げるべきである。

Ⅱ-2 患者にとって必要な情報提供や相談支援の推進

 機能強化加算は再診時でも算定可能にすること

 【理由】かかりつけ医機能を評価した加算であるのであれば、定期的に通院している患者にも算定できる加算にするべきである。

Ⅰ-7-5 小児医療、周産期医療、救急医療の充実

 小児抗菌薬適正使用支援加算の算定対象を、全年齢に引き上げること

【理由】政府は、2020年までに人口1,000人当たりの1日抗菌薬使用量を13年比で33%削減するとの目標を掲げているが、2018年の抗菌薬使用量(販売量ベース)は13年比で約11%減少にとどまっている。現在、内科の医療機関でも抗菌薬使用削減に努力しており、加算の対象を全年齢に拡大すべきである。

 妊婦加算は廃止せず、条件を付けて復活させること

【理由】妊産婦の診療に積極的な医療機関として都道府県の登録した医療機関や産科・産婦人科以外の診療科の医師に対して研修を実施し、受講した医師、又は妊婦の診療について相談窓口を設置している医療機関に対しては妊婦加算を算定可能とするべきである。あわせて、妊産婦が安心して医療が受けられる環境整備を整えるために、国による妊産婦医療費助成制度の創設が必要である。

Ⅱ-11 医療におけるICT の利活用

 対面診療と情報通信機器を用いた診療を組み合わせた診療の評価を新設するべきでないこと

【理由】情報通信機器の画像では患者が禁煙しているかどうか判断できず、呼気検査数値の把握も困難である。確実に禁煙させるためには対面診療が不可欠である。

Ⅲ-3 質の高い在宅医療・訪問看護の確保

 依頼先の医療機関が6カ月を超えて訪問診療を実施できるようにする他、算定を「月1回」までとする制限を撤廃すること

【理由】複数医療機関からの訪問診療が必要となる場合は、患者の疾患やその時々の状態によって集中的な診療が必要なケースが当然ありうる。患者の病態に応じて医療機関が柔軟に対応できるように、「月1回」までとする算定制限は撤廃すべきである。

Ⅳ-7 医薬品、医療機器、検査等の適正な評価

 在宅患者に行う超音波検査について現行の点数から引き下げないこと

【理由】在宅患者はレントゲン・CT などは日常的には出来ない状態であり、超音波検査は外来通院困難な在宅患者の全身管理には不可欠なものである。装置の小型化をもって過少評価をするべきではない。

入院料

Ⅰ-1 地域医療の確保を図る観点から早急に対応が必要

 夜間看護要員の複数配置は必要だが、救急外来等で病棟から一時的に看護職員がやむを得ず外来に赴くことについては柔軟に取り扱うように要望する。また、救急体制の確保のためには職員を配置できるような経済的裏付けが必要だが、救急の受け入れ実績には地域差があり、必ずしも施設基準の要件で定められた実績を満たせることにはならないため、診療報酬ではなく補助金を活用して補填すべきと考える。

Ⅰ-2 医師等の長時間労働などの厳しい勤務環境を改善する取組の評価

 「(9)より多くの医療機関で質の高い入退院支援を行いつつ、住み慣れた地域で継続して生活できるよう、入退院支援加算について看護師等の配置に係る要件を見直す。」について

 入退院支援加算の人員配置の施設基準(特に入退院支援加算1)が厳しいため、施設基準を満たすことが困難である。真に入退院支援を進めて住み慣れた地域で継続して患者が生活できるようにするのであれば、人員配置を要件緩和すべきである。

Ⅱ-6 アウトカムにも着目した評価の推進

 「(1)回復期リハビリテーション病棟における実績要件について、アウトカムを適切に反映させるとともに、栄養管理の充実を図る観点から、回復期リハビリテーション病棟入院料について要件を見直す。

 (2)データに基づくアウトカム評価の推進の観点から、データ提出加算について要件等を見直す。また、提出データ評価加算の算定状況や未コード化傷病名の現状を踏まえ要件等を見直す。」について

 同じように治療を行っても、回復には個人差があるため、アウトカム評価を回復期リハビリテーション病棟入院料の施設基準の要件にするのは不適切である。回復期リハビリテーション病棟入院料におけるアウトカム評価を廃止すること。
 また、データ提出加算については、患者の治療に直接関係のないものであり、々の患者に対する治療行為を評価した診療報酬で対応すべきではなく、データ提出加算を入院料の要件とするべきでない。

Ⅲ-1 医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価(地域医療の確保を図る観点から早急に対応が必要な救急医療体制等の評価再掲を含む)

 「(3)急性期の入院医療の必要性に応じた適切な評価を行う観点から、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度について、必要度の判定に係る項目や判定基準等の要件を見直す。」について

 看護職員および看護補助者等の配置による評価と、診療実績による評価は区別すべきものであることから、一般病棟用入院基本料の「重症度、医療・看護必要度」の診療実績については、入院基本料の要件から外すこと。

 「(10)地域包括ケア病棟において、急性期治療を経過した患者や在宅で療養を行っている患者を受け入れる役割が偏りなく発揮されるよう、地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料について要件を見直す。

 (11)地域包括ケア病棟において、適切に在宅復帰支援等を行う観点から、地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料について要件を見直す。

 (12)患者の状態に応じた適切な管理を妨げないよう、同一の保険医療機関内において、DPC 対象病棟から地域包括ケア病棟へ転棟する場合について要件を見直す。」について

 地域包括ケア病棟では自院の病棟からの転棟が約4割を占めていることもあり、これを今次診療報酬改定で制限する動きがあるが、在宅への復帰を目指す病棟の本来の意義を締め付けることになるため、制限をしないように要望する。

Ⅲ-2 外来医療の機能分化

「(1)大病院の外来医療の機能分化を推進する観点から、紹介状なしで大病院を受診した患者の定額負担を徴収する責務がある医療機関及び紹介率や逆紹介率の低い大病院に対する初診料等減算について、対象となる医療機関の範囲の要件を見直す。」について

 紹介状なしでの大病院受診時の定額負担について、すでに現行では、特定機能病院および地域支援病院(許可病床数400床以上)が対象となっている。今次診療報酬改定に向けて、一般病床200床未満を除く地域医療支援病院まで対象を広げることが検討されているが、新たに約250病院が増えることになり、ほとんどの地域医療支援病院が対象になると森光敬子医療課長は説明している。これ以上の患者負担を認めることはできず、受診時定額負担は患者の受診抑制につながる可能性があるため、定額負担の拡大に反対する。
 患者負担を拡大することで機能分化を図るのではなく、地域の実情を踏まえ、各地で自主的に有効な医療資源活用ができるよう柔軟な施策へ方向転換するべきである。
 また、入院中の患者が他医療機関の外来を受診した日については、入院医療機関では入院基本料等の基本点数を10~20%あるいは40%減額する取り扱いとされ、他医療機関では医学管理等、在宅医療、投薬、注射およびリハビリテーションに係る費用等を算定できない取り扱いとされている。これは他医療機関の医師の専門的な技術料を不当に減額するとともに入院患者への専門的な医療を制限するものであることから、入院料の減額を行わないこと、ならびに外来側の算定制限を設けないことを要望する。

以上