インフルエンザ流行期における「診療・検査医療機関」について

公開日 2020年10月27日

※本記事は2020年10月20日時点の情報に基づいています。
行政機関のWebサイトはこちら:
診療・検査医療機関について(東京都福祉保健局)
「令和2年度インフルエンザ流行期に備えた発熱患者の外来診療・検査体制確保事業」について(厚労省)

 東京都福祉保健局感染症対策部長から、都内の医療機関に「診療・検査医療機関」への登録申請を呼び掛ける事務連絡が10月9日付で通知されている。
 東京都は、インフルエンザ流行期に発熱患者等が地域において適切に診療および検査を受けられるようにするため、発熱患者への診療・検査を行う都内の医療機関を「診療・検査医療機関」として指定する。現時点で判明している制度の概要をお伝えする。

1.「診療・検査医療機関」とは

 季節性インフルエンザ流行期の診療体制として、発熱患者の診療等を行う医療機関を、東京都が「診療・検査医療機関」として指定したもの。「診療・検査医療機関」は、発熱患者を診療するすべての医療機関が申請すれば指定を受けられる。

2.「診療・検査医療機関」の施設要件

・発熱患者が他の疾患の患者と接触しないよう可能な限り動線が分けられていること(物理的に動線が分けられない場合は、診療時間を分けることでの対応も認められる)

・必要な検査体制が確保されていること(検査を依頼する場合には、連携体制が取れていること)

・医療従事者の感染対策を行うなど、感染対策が講じられていること

自院で検査を行う場合には、東京都と行政検査の委託契約(医師会の集合契約を含む)を締結していること(新型コロナの検査を実施しない場合は、地域のPCRセンター等に依頼すること)

・自院のかかりつけ患者および自院に相談のあった患者である発熱患者のみを受け入れる場合は、院内に掲示を行うなど、自院で診療・検査可能である旨の周知を行うこと

3.「診療・検査医療機関」の機能要件

・申請した曜日別の診療・検査時間内において、受診・相談センター等から患者の受け入れ要請があった場合、原則として速やかに患者の診療・検査を受け入れること

・自院を受診した患者が新型コロナウイルス感染症陽性であった場合、速やかに管轄の保健所に発生届を提出すること

4.「診療・検査医療機関」の報告事項

 診療・検査医療機関として指定されている期間中は、以下のシステムを用いて情報を報告する。

① G-MIS(新型コロナウイルス感染症医療機関等情報支援システム)
 日々の受診者数や検査数の入力を行う。

② HER-SYS(新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム)
 検査の結果、陽性と診断された患者について、発生届を提出する。

 また、入院が必要と医師が認めた疑似症患者については、疑似症と診断した時点で入力を行い、疑似症患者として発生届を提出する。その後、当該患者が陽性であると診断された場合は、改めて発生届の提出を行い、陰性であると診断された場合は、疑似症患者として一旦提出した発生届を修正し、検査結果を入力する(10月14日、厚労省省令施行通知:健発1014第9号)。

5.対象患者について

 受診・相談センターや地域の相談対応医療機関からの紹介患者、自院のかかりつけ患者、濃厚接触者の各々について対応するものを選択できる。

6.「診療・検査医療機関」が受けられる補助

① 発熱外来診療体制確保支援補助金
 東京都の指定を受けた「診療・検査医療機関」に対して、外来診療・検査体制確保に要する費用が補助される。補助金は国の窓口に申請し、国が直接支払う。

【補助金の基準額】
13,447円×(①受入時間に応じた基準患者数-②実際の発熱患者等の受診患者数)

補助金交付の対象  
基準患者数は、1日(7時間)20人(※)を上限とし、体制確保時間に応じて設定する。
※自院のかかりつけ患者のみを診療等の対象とする場合、1日(2時間)5人を上限とする。

<注意点>
・国は当該補助金を、発熱患者を診療する体制を確保したにもかかわらず患者が来院しなかった場合の補助として設定している。つまり、実際に来院した発熱患者数に応じて、補助金が減額される仕組みとなっている。
ただし、来院した発熱患者数が0人の月の場合、支払われるのは基準額の1/2の額になる。

<交付要綱>
令和2年度インフルエンザ流行期における発熱外来診療体制確保支援補助金(インフルエンザ流行期に備えた発熱患者の外来診療・検査体制確保事業)の交付について」(2020年9月15日、厚労省発健0915第8号)

②個人防護具(PPE)の提供
 「診療・検査医機関」には、 国からサージカルマスク、フェイスシールド、長袖ガウンの配布が実施される(直接送付)。配布時期、数量については現在調整中とのこと。

7.申請の手続き

 「診療・検査医療機関」指定の申請と、「補助金」の交付申請を別に行う必要があり、それぞれ申請先が異なるので注意されたい。

①「診療・検査医療機関」の指定申請(申請先は東京都。提出期限:第1回〆切10/19※)
都は、政府の「支援補助金」申請延長期間に合わせて、10月19日以降も受け付けるとしている(10/14、電話にて確認)
 最終期限:令和3年1月31 日(日曜日)
 ウェブサイトの入力フォームから申請を行う(要ID/パスワード)。IDとパスワードについては、東京都が各医療機関宛に発送している通知に記されている。また、申請者のメールアドレスの入力が求められる。

②「発熱外来診療体制確保支援補助金」の交付申請(申請先は厚生労働省。提出期限:10/30※)
厚労省は10月30日以降も随時受け付けるとしている
 最終締切日:令和3年2月12日(金曜日)※消印有効
 申請書類(①第2号様式交付申請書(本体および別紙)、②請求書、③収入支出予算(見込)書、④都からの指定通知書の写し)を下記宛先に送付する。
・①~③の資料の入手先
 「令和2年度インフルエンザ流行期に備えた発熱患者の外来診療・検査体制確保事業」について

<送付先>
住所:〒100-8779 銀座郵便局留
宛先:厚生労働省 発熱外来診療体制確保支援事業担当宛

8.問い合わせ先

「診療・検査医療機関」指定申請について
下記のフォームから問い合わせる。
診療・検査医療機関登録申請に関するお問合せ

「発熱外来診療体制確保支援補助金」申請について
厚生労働省医療提供体制支援補助金コールセンター TEL:0120(336)933

(『東京保険医新聞』2020年10月25日号掲載)