公開日 2020年12月11日
Zoom を併用し、医療機関や自宅等からの参加者と会場をつなぎ、活発な意見交換を行った(10月27日、協会セミナールーム)
コロナ禍の悩みを共有
組織部・研究部は10月27日、協会セミナールームで、耳鼻咽喉科会員懇談会を開催した。
当日は新型コロナウイルス感染防止対策のため、Zoomでのオンライン視聴を併用し、会場で5人、Zoomで10人が参加した。
患者の受診抑制で医業経営に深刻な打撃
耳鼻咽喉科は小児科と並び、最も患者の受診抑制の影響を受けている科の一つだ。
6月12~19日にかけて協会が会員を対象に行った医業経営アンケートでは、回答した耳鼻咽喉科標榜の会員全員が、保険診療収入が昨年同月に比べて減少したとしており、なかでも5割以上の減収を訴える医療機関が全体の77・3%に達した。
9月14~18日に行われたアンケートでは多少数値に改善が見られるものの、保険診療収入が5割以上減少した耳鼻科医療機関が全体の31・2%を占めており、医業経営への深刻な打撃は今日に至るまで続いている。
今回の懇談会は、こうしたコロナ禍における耳鼻科診療・医院経営について、会員同士で意見交換し、情報共有をはかる目的で開催された。
請求のポイント・支援制度等について解説
はじめに、平野理事が耳鼻咽喉科のレセプト請求のポイントについて、話題提供を行った。抗生剤を処方する際の病名の入力や、アレルギー性鼻炎の患者に対して、再度初診を算定する場合など、会員から質問が多く寄せられるポイントを、実際の減点事例を用いて解説した。
続けて、「新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金」と「感染拡大防止等支援事業」の概要について、また東京都福祉保健局から登録申請が呼びかけられている「診療・検査医療機関」と「発熱外来診療体制確保支援補助金」について事務局が説明した。
活発な意見交換 「発熱外来」への疑問も
その後の懇談では、「発熱外来診療体制確保支援補助金」の仕組みや事務手続きが非常に複雑であることや、新型コロナウイルス感染症核酸検出・抗原検査の保
請求の方法、院内での感染対策やトリアージなど、コロナ禍での様々な疑問や悩みが出された。
新型コロナの検査請求について、小児科外来診療料などの包括点数と合わせて算定する場合、別途レセプトを作成する必要があることや、検査料と判断料は公費で請求できるが、院内トリアージ実施料は窓口の一部負担金が発生するなど、複雑過ぎるという意見が出た。
「診療・検査医療機関」の指定申請については、「ビルのフロアにある診療所のため、発熱患者とそれ以外の患者を空間的に分けることが難しく、診療時間の一部を発熱外来に充てるしかない」「発熱患者を診察すればするほど減額される補助金の仕組みは医療現場の実情に合っていない」など、申請を躊躇する声があがった。
最後に平野理事が「参加者全員が率直に日頃の悩みや新型コロナ感染対策への疑問などについて発言され、あっという間の2時間だった。ぜひ来年も開催したい」と挨拶し閉会した。
協会は今後も、各科別の会員懇談会を開催していく予定だ。
(『東京保険医新聞』2020年11月25日号)