コロナ禍の小児科診療 現状をもとに懇談

公開日 2021年07月08日

 組織部・研究部は5月27日、協会セミナールームで小児科会員懇談会を共催で開催した。

 当日は新型コロナウイルス感染防止対策のため、Zoomを併用し、会場で3人、オンラインで49人が参加した。
 小児科はコロナ禍において患者の受診控えの影響を大きく受けていることから、今回は「小児科に係る診療報酬算定とその留意点」の解説の後、参加者同士が「最近の外来の状況」について意見交換を行った。

厳しい状況だからこそ漏れのない点数算定を

 はじめに、司会の細部理事が小児科医療機関の状況について解説した。新型コロナウイルス感染症(以下コロナ)拡大以降、他の診療科目と比較しても患者が大きく減少しており、併せて小児科施設数も減少傾向にあること等、資料に基づき報告した。

 続いて「小児科分野の点数算定のポイント」としてコロナに係る診療報酬上の臨時的取扱いを中心に事務局から解説した。「乳幼児感染予防策加算(100点)」と「医科外来等感染症対策実施加算(5点)」が併算定できることや、PCR検査や抗原検査の結果が陰性でもCOVID―19以外の診断がつかない場合は再度検査料を算定できるなど、算定漏れをなくすための点数情報を提供した。

現場での増収・感染対策を紹介

 その後の懇談では、「最近の外来の状況」をテーマに意見交換を行った。概ね患者数が減っている医療機関が多いなか、「(患者数は減少したが)点数は上がった」として、同一月内で「院内トリアージ実施料(300点)」をコロナの疑いでの受診と別の症状での受診の2度算定した例が紹介された。

 また、鼻腔吸引の処置をエアロゾル感染の懸念から、院内では行わず吸引機を貸し出し各家庭で実施する、感染防護策を講じた看護師に処置を分担する等、各医療機関での感染対策の工夫が紹介された。

 コロナワクチン接種について、小児科医が積極的に取り組むべきかも話題に上がった。内科と小児科を標榜する会員から「ワクチン接種を得意とする小児科医がこれから始まる全国民への接種に向けて積極的に対応してほしい」との声が出た。現在の接種対象者は高齢者であり実施している医療機関は少ないが、「余ったワクチンを教員や保育士に接種する流れを作るのに小児科医が一役買えるのではないか」という提案には多くの賛同が寄せられた。

 最後に細部理事から「コロナの収束は見えず、小児科を取り巻く環境は厳しい。だからこそ算定できる点数は漏れのないように算定し、子どもたちを守るために今後も意見交換をしていきましょう」と挨拶があり閉会した。
 

 


Zoom を併用し、小児科の厳しい現状や、小児科分野の点数算定、現場での工夫やコロナワクチン等、幅広く情報提供・意見交換を行った

(『東京保険医新聞』2021年6月15日号掲載)