日本ジェネリック製薬協会と在庫・品質管理等について懇談

公開日 2021年10月12日

 研究部は8月12日、日本ジェネリック製薬協会(以下、GE薬協)と懇談を実施した。当日はGE薬協から澤井会長、高田、川俣両副会長、佐藤理事長ら7人が出席し、協会からは、須田会長、申研究部長、拝殿および佐藤両理事が出席した。

 2020年度に品質問題が発覚したジェネリック製薬会社2社(小林化工、日医工)が生産を停止・自主回収を行った。業界最大手の日医工に加え他の製薬会社でも自主点検により問題が発覚し自主回収を行っているため、多くの薬局でジェネリック医薬品の流通が滞る状況が生じている。今回の懇談では特に、ジェネリック医薬品の在庫管理や品質管理、先発品と同じ成分で、価格がジェネリック医薬品と同程度のAG(オーソライズド・ジェネリック医薬品)に関する見解等を中心に意見を交換した。

 在庫管理については、ジェネリック製薬会社において多数の他社製品の供給停止等に対応するため、24時間体制で増産を図っているが、ジェネリック医薬品の工場では製造ラインを共有して多種の医薬品を製造しているため、今回の供給問題で生じた膨大な数量のすべての製品の在庫量を維持することが難しい状況であるとの説明があった。また、業界として供給調整することは独占禁止法の規制があるためできないという。GE薬協では、供給不安および供給不足が発生した際には、医療機関・薬局・医療団体に対して情報の提供を徹底するよう、会員会社に要請しているとの回答があった。

 一方、品質管理についてGE薬協は、「ジェネリック医薬品の場合、先発医薬品と同等の品質を求める規格および試験方法が設定されている。それを補完するための製造管理および品質管理において求められるGMP(Good Manufacturing Practice:医薬品の製造管理及び品質管理の基準)については先発医薬品とジェネリック医薬品で違いはない」と述べ、今回発生した違法行為については当該企業がGMPを軽視し、法令遵守の認識欠如と必要な経営資源投入等を行わなかったことが原因であるとの見解を述べた。また会員会社に対して、GMPの対応状況の確認、GMPの対応を確実に行うような取り組みを進め、改めて品質管理の徹底を要請していると説明した。

 懇談の最後に、GE薬協の澤井会長から「今回は製品供給停止の事態となってしまい、申し訳なく思っている。二度とこのようなことがないよう、GMPや法令の遵守を徹底する取り組みを進めている。また今回の懇談を通じて、情報を伝えきれてない部分が多くあると感じた。今後はいっそう医療機関への情報提供に努めるよう会員会社に要請したい」との挨拶があった。

 協会では今後、ジェネリック製薬会社や先発医薬品会社等の関係者を招いてのシンポジウム開催を検討していく予定だ。

(『東京保険医新聞』2021年9月5日号掲載)