オンライン資格確認 急がず、慎重な対応を

公開日 2021年11月08日

◎10月20日 本格運用へ

 厚労省は9月22日の社会保障審議会医療保険部会で、10月20日からオンライン資格確認の本格運用を開始する方針を示した。

 準備が完了している医療機関・薬局では利用者がマイナンバーカードのみで保険資格を確認でき、医療機関・薬局で患者の特定健診等情報・薬剤情報の閲覧が可能になるとしている。

 9月12日時点の顔認証付きカードリーダー申込数は、全医療機関・薬局の56・3%(12万8794施設)、医科診療所では43・9%(3万9175施設)となっている。一方、同日までにオンライン資格確認の準備が完了している施設は、全医療機関・薬局の5・6%(1万2894施設)に過ぎない。

 厚労省自身も10月20日の本格運用開始時点で準備が完了しているのは、全医療機関・薬局の数パーセント程度にとどまると予測しており、国民に対しても「すべての医療機関・薬局においてシステムが導入されているわけではない旨、周知を図る」としている。

 9月12日時点のマイナンバーカード交付枚数は約4803万枚(人口比37・9%)で、健康保険証としての利用登録件数は約523万枚(カード交付枚数に対する割合10・9%)となっている。

◎厚労省 イレギュラーなケースへの対応示す

 厚労省は、「保険証とシステムとで情報が異なった場合に、システム上の情報が原則正しいと判断する」という「本格運用の定義」に基づき、イレギュラーなケースへの対応例を示した(表参照)。

 オンライン資格確認に対応していない医療機関に患者がマイナンバーカードのみを持って受診した場合、現在の保険証を忘れた場合と同じ対応で良いことを厚労省は明らかにした。

◎従来通り保険証による資格確認を

 厚労省は今年3月に本格運用を目指していたが、登録データの誤りが発覚するなどして延期となった。オンライン資格確認システムの安全性、セキュリティは確立されているとは言えない。協会は、オンライン資格確認の導入は医療機関にとって義務ではなく、従来通り保険証による資格確認で十分であることを会内外に周知してきた。

 カードリーダー申請済みの医療機関については、オンライン資格確認システムへの参加時期は2023年3月までの任意の時期でよく、10月から急いで参加する必要はない。

 協会はオンライン資格確認を拙速に導入する必要がないことを改めて周知するとともに、医療情報をマイナンバーに紐づけようとする政府の狙いを分析し、警鐘を鳴らしていく。

(『東京保険医新聞』2021年10月5日号掲載)