皮膚科会員懇 9年ぶり開催

公開日 2021年11月12日

 組織部と研究部は10月26日、皮膚科会員懇談会を開催した。皮膚科標榜の会員から開催を希望する声が多数寄せられていた企画で、2012年の開催以降9年ぶりの開催となった。今年3回目の各科別懇談会となる。

 八木葉子理事が司会・進行を務め、皮膚科を標榜する会員38人(会場1人、Web37人)が参加した。


会場とWeb を併用し、活発な意見交換が行われた(10月26日、セミナールーム)

 

皮膚科診療の保険請求 事前質問に基づき解説

 話題提供として①医学管理、②処置、③薬剤、④減点事例の紹介、⑤混合診療、⑥平均点数と個別指導、⑦事前に参加者から寄せられた質問について事務局が説明し、項目ごとに八木理事が自身の経験を踏まえて補足説明した。

 医学管理では、皮膚科特定疾患指導管理料の対象疾患や算定上の留意点、初診から1カ月経過してから算定するという規定に係る考え方について、処置では、いぼ等冷凍凝固法の算定頻度について、軟属腫摘除は処置を行った箇所数により点数が異なる点などを説明した。

 薬剤では、クレナフィン爪外用液を処方する場合は細菌顕微鏡検査又は細菌培養同定検査により爪白癬の診断をすること、一旦治癒した後再発したので再度初診料を算定する場合も、再度必ず検査を行わないと減点対象になると注意喚起があった。

 減点事例ではファムシクロビル錠、リンデロンVG、抗ウイルス剤の処方で減点になったレセプトを紹介し、減点理由と注意点を解説した。

 混合診療については、一連の診療行為のなかで保険診療と自由診療の混在は認められていないが、別疾患に対してそれぞれ保険診療と自由診療を行うことは禁止の対象になっていないことをポイントとして挙げた。皮膚科は、自由診療を行う医療機関が多いことから、具体的な事例についての質問が多く出された。

需要が高まる皮膚科の在宅医療

 集団的個別指導の対象となる、皮膚科の基準平均点も話題になった。

 協会が厚生局から開示された資料を紹介し、医療機関によって平均点に差があることから「自院の平均点と比べはるかに高い」と驚きの声があがった。

 これに対し八木理事は「高点数になるのは手術や在宅患者への往診や訪問診療など必要に応じて診療を行った結果であると考えられる。コロナ禍の変化として皮膚科も外来受診を避け、在宅医療の需要が高まっている。行政指導を恐れて萎縮医療を行うのは本末転倒である」と参加者に訴えた。

 また、昨年内科など多くの科で平均点が上がったのに対し、皮膚科では下がっていたことについて、「感染を恐れ、処置をせずに薬の処方だけを希望する患者が増えたのが原因ではないか」という見解を述べた。

 質疑応答では、慢性疾患の患者に対する初診料の考え方、特異的IgE検査の算定、混合診療についての質問に回答したほか、参加者からも多くの質問が出て活発な意見交換が行われた。

 最後に八木理事が「この会で学んだことを明日からの診療に役に立ててほしい。これからも様々な研究会等を企画していきたい」と挨拶し閉会した。


司会の八木葉子理事

(『東京保険医新聞』2021年11月5日号掲載)