コロナ後遺症の対処学ぶ―研究会を開催

公開日 2022年02月10日

 
 講師による上咽頭擦過療法・鼻内翼口蓋神経節刺激法の実演も行われた(写真左:田中亜矢樹氏)

 研究部は2021年12月19日、新型コロナ後遺症研究会を開催し、会場・オンライン併せて81人が参加した。

 実際に新型コロナ後遺症の患者の診療に取り組んでいる平畑光一氏(ヒラハタクリニック院長)、田中亜矢樹氏(医療法人永成会田中耳鼻咽喉科院長)を講師に招き、実際の診察例や実演を交えながら学習を深めた。

 以下、会員の参加記を掲載する。

 
 平畑 光一 氏

 

 
 田中 亜矢樹 氏

参加記
 平野 浩二(ミルディス小児科耳鼻科)

 コロナ患者は急増し、感染したことがある患者の総数はかなりの数にのぼっている。呼吸不全で命を落とすことばかりが注目されてきたが、軽症であっても後遺症で苦しむ人は多い。自分のような開業医が、重症のコロナ患者を診られるわけではないが、後遺症に対しては有効な治療法がある。それが今回の研究会のテーマである。

 1人目の講師は、ヒラハタクリニック(渋谷区)院長の平畑光一先生。コロナ後遺症患者を数千人診察している医師である。オンラインも駆使し、真夜中まで診療をしている。コロナ後遺症にはどんな症状があり、その問題点とは何か、多くの診察例から話してもらった。体を動かすことにより疲労感が強くなる人がけっこういる。リハビリをさせて無理をさせると、かえって体調が悪くなる。無理をさせずに休息させるほうが重要であると主張する。

 2人目の講師は、大阪府で耳鼻咽喉科を開業している田中亜矢樹先生。コロナは上咽頭炎を引き起こし、その炎症を抑える治療(Bスポット治療、EAT)を行うと、症状が軽減すると主張する。新しい治療法(鼻内翼口蓋神経節刺激法INSPGS)の効果もあわせて報告があった。Bスポット治療は耳鼻科開業医中心に行われているが、内科の医師でも行うことは難しくはない。東京保険医協会では、数年前にBスポット治療の実技講習会を開催し、非耳鼻科医の先生たちにもかなり出席してもらった。

 コロナ後遺症外来を開設した医療機関も増えた。都内開業医のところにはコロナ後の症状で苦しむ人が受診してくることだろう。15万人以上の人がコロナの後遺症で苦しんでいるとすら言われている。それにもかかわらず、多くの医師には「治療法がない」と一刀両断されてしまう。オミクロン株が広まり、重症化する人は激減してきた。しかし、コロナに感染する人の数は今まで以上に増えてきている。コロナの後遺症で苦しむ人も激増するに違いない。いつまでも体調がよくならず、学校を退学する、仕事を首になる。

 開業医として今後何ができるかを考えたとき、コロナ後遺症を正しくとらえ、それに対する治療法を提供してくれた今回の研究会、開業医だからこそ、学ぶ意義が大きかったように思う。コロナ後遺症への対処の仕方を学ぶことができる、有意義な研究会だった。

(『東京保険医新聞』2022年1月25日号掲載)