小児を診る会員で交流

公開日 2022年08月02日

 組織部と研究部は6月23日、小児を診る会員を対象に小児科会員懇談会を開催し、会場5人、Web31人の合計36人が参加した。

 細部千晴理事が司会を務め、前半は「小児科診療所の状況」について細部理事から、「小児科が知っておきたい2022年度診療報酬改定の留意点」について事務局からそれぞれ説明し、後半は日常診療の意見交換と保険点数の質疑応答を行い、井上博文理事がアドバイスした。

司会の細部千晴理事

小児科の医療費 2021年3月から増加

 細部理事は、日本における少子化は深刻であるとした上で、一般診療所(外来)診療科別の医療費を見ると、新型コロナによる受診抑制の影響を最も受けた小児科のみ2021年3月以降増加傾向にあることを報告した。

 患者数は増えていないがレセプト1件当たりの医療費が増加したのは、乳幼児感染予防策加算の導入、RSウイルスや新型コロナウイルスの流行が影響していると考察した。

 続けて、小児かかりつけ診療料など2022年度診療報酬改定で算定要件が変更になった点数を中心に事務局が解説を行った。

 小児かかりつけ診療料を届け出ている医療機関であれば、機能強化加算も届出を行うことで併せて算定可能であることをはじめとして、小児科標榜の医療機関が算定可能な点数を説明し、算定漏れがないよう周知した。また、細部理事が提供したレセプトの症例について、具体的に解説した。

診療報酬やコロナ検査で活発に意見交換

 質疑応答では、参加者から、今次改定で学校医宛てに診療情報提供書を出した場合でも算定できることになった診療情報提供料Ⅰに対する意見が多く出た。従来は自分が学校医をしている学校宛てに出していた診療情報提供書を自費の文書料として徴収していたが、4月からは「主治医と学校医等が同一の場合は算定できない」と留意事項通知にあることから何も算定できなくなった、不合理ではないか等の意見が出た。

 また、新型コロナの検査について、小児科では1~3月は検査の希望が多かったが、4月下旬以降検査を躊躇する患者が目立つという意見が出た。「1回検査したから」「保育園で流行していないから」といった理由の他に、「検査をしたくない」と露骨な拒否反応を示す患者や家族への対応に苦慮している現状が共有された。1歳から3歳の患者は10%程度の陽性率なので検査を勧めなくなったとの意見には会場、Web参加者ともに異論は出なかった。

 他の参加者からも、来院時は抗原検査のみ実施し、陰性であった場合は必要に応じて後日PCR検査に回す、検査は法的には義務ではないことを伝えた上で医学的な善意として勧めるなどの経験が共有され、終了予定時刻になっても質問や意見が途切れなかった。

 最後に細部理事が「協会からのFAXニュースや点数関連の情報は算定に役立つ。算定できる点数は確実に請求してほしい。新型コロナに加えてインフルエンザの流行も懸念されるが、次回はぜひ会場で直接意見交換をしたい」と挨拶し、閉会した。昨年5月に続き2回目の開催となったが、参加者からは次回の開催を望む声が多数聞かれた。
 


会場の様子(6月23日、セミナールーム)

(『東京保険医新聞』2022年7月15日号掲載)