オンライン資格確認 強引な推進

公開日 2022年08月05日

◆オンライン請求ログイン時にアンケート

 2022年7月から、オンライン請求システムにログインする際に「オンライン資格確認を導入されていない医療機関・薬局の皆様へ」と題したポップアップ画面が表示されるようになっている。

 主な内容は、顔認証付きカードリーダー未申請の医療機関向けに、2022年9月頃までのカードリーダーの申請および、2023年3月末日までのオンライン資格確認導入を勧奨するものとなっている。さらに「オンライン資格確認の導入に関する検討状況をご回答ください」というアンケートが付いており、回答しないとオンライン請求画面に進むことができないようになっている。

 支払基金によると「オンライン資格確認等における重要な連絡事項について確実にお知らせを行うため」として、オンライン請求システムへのログインの際にポップアップ画面を表示させる機能を追加しており、また、今後も同機能を使った案内を適宜行っていくとしている(※保団連確認)。

 この間、オンライン資格確認システム導入を勧めるリーフレットの送付や、顔認証付きカードリーダー未申請の医療機関への電話勧奨など、同システムの普及促進が進められている。

 しかし今回の手法は、医業経営にとって一番重要な診療報酬請求の際に、関係のないアンケートを表示し、答えなければ請求できないようにするものであり、重大な問題がある。このような形での「案内」は中止すべきである。

 なお、案内には、システム導入により「電子的保健医療情報活用加算」の施設基準を満たすとの記載があるが、同加算は今後の見直しが検討されており、そのことを伏せて案内するのは適切ではない。


オンライン診療システムログインの際に表示されるポップアップ画面

◆オンライン資格確認導入焦る必要はない

 政府の「骨太方針2022」にオンライン資格確認の原則義務化が盛り込まれたこともあり、会員からは、「このような案内を見るとオンライン資格確認を導入しないと不利益が生じるのではないかと不安になる」との声が多数寄せられている。

 しかし、7月3日時点でオンライン資格確認を導入している医療機関は24・3%に過ぎない。世界規模の半導体等の不足により機器の調達は遅れており、2023年度からの原則義務化は現実的とは言い難い。各医療機関におかれては、国からの勧奨に動じることなく、導入については慎重に判断されたい。

 協会は医療機関への負担や情報漏洩の危険性を孕み、国民皆保険を形骸化させる恐れのあるオンライン資格確認義務化に引き続き反対していく。

(『東京保険医新聞』2022年7月25日号掲載)