病院管理者向け講習会を開催 働き方改革にどう対応すべきか

公開日 2022年11月04日

 病院有床診部は9月15日、病院管理者向け講習会「医師の働き方改革~病院が求められる対応~」を開催し、会場・Zoomを合わせ8人が参加した。講師の大澤範恭氏(AIP経営労務合同会社・AIP社会保険労務士・行政書士事務所代表)が「2024年4月に実施される医師の労働時間規制に向けて病院管理者として、いつまでに何をすべきか」をテーマに講演した。

勤務医の労働時間は兼務先を含め管理を

 2024年4月以降、診療従事勤務医の超過勤務は、原則として年間960時間以内に抑える必要がある。なお、「都道府県知事の指定を受けた医療機関で指定に係る業務に従事する医師」については、例外的に年間1860時間以内での時間外・休日労働が認められる。

 一般的な診療所、中小病院は960時間の制限に該当する(A水準)。1860時間の制限に該当する医師は①3次救急医療機関や、救急車を年間1000台以上受け入れる2次救急医療機関等で地域医療体制を確保するための業務に従事し、長時間労働が必要となる医師(B水準)、②地域医療確保のために派遣され、通算で長時間労働が必要となる医師(連携B水準)、③長時間、集中的に経験を積む必要のある研修医(C︱1水準)、④特定の高度な技能の修得のため集中的に長時間修練する必要のある医師(C︱2水準)等を指す。

 大澤氏は、「全ての医療機関経営者は、副業・兼業先を含めて医師の労働時間を把握する義務がある。自院の労働時間だけでなく、副業・兼業先での労働時間を含めて上限未満に抑えなければならないことに留意が必要だ」と説明した。

宿日直申請のポイント

 また、労働基準法上、「常態としてほとんど労働することがなく、労働時間規制を適用しなくとも必ずしも労働者保護に欠けることのない宿直または日直の勤務で断続的な業務(いわゆる寝当直に当たるような業務)」については、労働基準監督署長の許可を受けた場合に労働時間規制を適用除外とすることを定めている(宿日直許可)。

 大澤氏は、宿日直は軽度または短時間等の業務に限られるため、申請前のチェックポイントを示した(別表参照)。労働時間の管理とともに、宿日直に移行できるのか、自己研鑽に該当するのか、または多職種へのタスクシフト・シェアが可能なのか、具体的に検討し、医師・医療従事者の働きやすい環境整備をしていくことが重要だと強調した。

(『東京保険医新聞』2022年10月25日号掲載)