会員アンケート 医業経営を圧迫する物価・光熱費高騰

公開日 2023年05月26日

 協会は「物価高騰に関する医療機関緊急調査」を実施した。都内開業医会員4697人にアンケートをFAXで送信し、3月14~29日の2週間で517人から回答があった。

 調査結果から、物価・光熱費高騰が医療機関に深刻な影響を及ぼしている実態が浮き彫りになった(本紙5月5・15号「主張」参照)。

診療報酬プラス改定・補助金拡充求める声多数

 回答のあった医療機関の97・1%で電気料金が昨年同時期と比べ上昇しており、上昇率についても、「3割以上値上がりした」と回答している医療機関が24・5%に上った(図1)。

 電気料金の上昇が目立つが、食材料費やガス料金も約55%の医療機関が「上がった」と回答し、その上昇幅はそれぞれ約半数で1割以上である(図2、図3)。

 求める支援・対策については図4の通り、継続的な支援として診療報酬のプラス改定を求める声が多く、補助金の拡充や税・社会保険料の引き下げの要望も過半数を超える結果となった。

 自由意見欄では、物価上昇の中で公定価格である診療報酬が上がらず、経営に苦しむ医療機関の声が多く聞かれた(自由意見欄参照)。

東京都・厚労省に支援を求め要請

 支出が大きく増える一方、診療報酬は国が定めた公定価格であるため、値上げによる収支改善を図ることはできない。

 アンケート結果をもとに、協会は4月19日、厚労省へ「物価高騰に対応した医療機関への支援と診療報酬のプラス改定を求める要望書」、東京都へ「電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金等を活用した都内すべての医療機関に対する支援を求める要望書」をそれぞれ提出した。地域医療を支える医療機関への抜本的な対策を求め、今後も要請活動を進めていく。

会員からの声(自由意見欄から一部抜粋)

・固定費の上昇に対して診療報酬が追い付いていないため、経営が苦しくなるばかりです。経費削減の努力だけではどうにもなりません。
・診療報酬を物価上昇にあわせて上げるべきです。プラス改定なくして医療従事者の給与アップはあり得ない。
・一時的な補助金より永続する収支の改善を望みます。
・診療報酬を上げると患者さんには負担増になるため減税をしてほしいです。
・診療費を気にする患者さんが増えました。受診控えがあるため、早急な窓口負担の軽減が必要。
・今一番の問題は消費税。電気代は2倍になっているが、CT等の検査代は変わらない。消費税も2倍になっている。ゼロ税率にして、保険診療も仕入れ税額控除を可能にしないと、とても公平な税制とは言えない。
・政府・厚労省は診療報酬の引き下げを続けている上に、オンライン資格確認に伴う固定費負担や賃金アップを強要・要求しており、あまりに理不尽である。
・政府は減税を行い、国の予算をもっと国民に公平に行き渡るよう使うことが重要だ。バラまきはやめて欲しい。
・物価高騰に加え、オンライン資格確認の経費増もある。コロナ禍のダメージ回復も鈍く、いつまで医業を続けられるか心配だ。

 

(『東京保険医新聞』2023年5月25日号掲載)