適時調査講習会 日常管理のポイント 解説

公開日 2023年09月09日

 病院有床診部は7月27日に「病院・有床診療所向け適時調査対策講習会」をセミナールームで開催し、会場に5医療機関、Webで8医療機関が参加した。

 主催者を代表して水山和之病院有床診部長が挨拶し、「適時調査は、2022年度から実地での調査が再開された。施設基準要件に医療機関が適合しているかどうか、日常のチェックポイントの基本を押さえておくことが重要だ」と述べた。


講演の模様(7月27日、セミナールーム)

適時調査対策の最重要ポイント

 講習会では、返還につながりやすい基準として、客観的に線引きしやすい、①数字で定められている基準(平均在院日数、月 平均夜勤時間数、重症度、医療・看護必要度該当患者割合、在宅復帰率など)、②面積要件のある基準(リハビリの専用室、薬剤管理指導料の医薬品情報管理室など)、③人員基準(看護職員(要員)配置数、看護師比率、リハビリ専任常勤医師、専任常勤OT・PTなど)が紹介された。いずれも基本診療料や算定頻度の多い診療報酬であり、基準を満たしていない場合の返還金が多額となるため、最重要のチェックポイントである。

 被調査医療機関が応じた返還金の総額は個別指導による自主返還の総額を常に超えており、2015年の76・3億円(2561件)をピークに、新型コロナウイルス感染拡大による中止前の2019年には50・4億円(3519件)であった。

『届出医療等の活用と留意点』の活用を

 厚生労働省は、ホームページ上に『適時調査実施要領等』と題する適時調査の手順書を公開している。1000頁を超える膨大な資料である。2022年度診療報酬改定において届出の必要な事項が大幅に増加し、基本診療料で141種類、特掲診療料で567種類となった。届出要件も多項目にわたることから、「日常管理チェック表」を作成し、点検を強化することが求められる。

 講習会では、保団連発行の『届出医療等の活用と留意点』に沿って点検方法を解説した。同書は、日常の点検に悩みを持つ病院・有床診療所への一助にと、全国の保険医協会・医会が結集して作成した解説・実用書である。

 閉会の挨拶で水山部長は、抜かりなくルーチン業務にチェック体制を組み入れることが大切であると強調し、「日々の激務のなかで、チェック体制を構築することは、大変難しい。ぜひ『届出医療等の活用と留意点』を活用し、くじけず頑張ってほしい」と受講者へ呼びかけた。

(『東京保険医新聞』2023年8月25日号掲載)