サルビア会・就労環境部セミナー 介護への備え 万全に

公開日 2023年09月09日

 7月19日、サルビア会・就労環境部は「医師の家族、医師自身の介護に備える制度とお金の話」をテーマにセミナーを開催した。富国生命保険相互会社のCFP、浅津誠氏を講師に迎え、会場とZoomで計27人が参加した。


講師の浅津誠氏

 浅津氏は、「自分自身だけでなく、家族や親、兄弟姉妹まで含めると介護が必要となる可能性は十分にある。必要となった時に向けて心構えや準備を行うべき」と述べ、解説した。

 介護保険は制度の創設以来、年々利用者が増加し、保険料も3年ごとの制度改定のたびに引き上げられている。在宅医療や入所施設等の普及で利用開始から平均で5年以上の介護継続があり、3年以上の継続は6割を超え、10年以上も2割弱ある。

 1カ月にかかる介護費用は平均8万円強との調査結果が出ており、1年で100万円ほどの計算になる。施設の利用を前提とした場合、特別養護老人ホームで月12~17万円、介護付有料老人ホームは月15~35万円(入居一時金除く)が相場ともいわれている。

 介護保険は要介護度に応じて支給限度額が決まっており、支給限度額を超えて利用した場合、超えた分は全額自己負担となる(下表参照)。支給範囲内で利用できるサービスの目安を紹介した。

 介護費用が高額になった場合には、申請に基づく払い戻し制度として、「高額介護サービス費」や医療費と合算になる「高額医療・高額介護合算療養費」を利用することで、費用が軽減される。また、介護にかかった費用の一部は医療費控除を利用できるため、医療費とともに、領収証を保管しておくことが重要である。

 民間保険でも介護に合わせて保険金が受給できる保険があり、介護状態が続く限り年金として受け取れるタイプや介護認定時に一時金が出るタイプなどがある。保険会社によって保険金額や保険料、保険期間に差があるため、加入を検討している人は比較をしてから加入するように注意を促した。その人の介護状態に応じて既に用意されている制度、減免を利用したうえで、民間保険等の別の備えを検討することが大切だと述べた。

 参加者からは「介護に必要な金額や、介護保険の月上限額が具体的にわかり、参加してよかった」「要介護認定の結果が出るまでや施設入所の順番待ちの間、介護予防サービスやレスパイトケアの利用も検討したい」「改めて介護について考える機会が得られた」等の感想が寄せられた。

(『東京保険医新聞』2023年8月25日号掲載)