都保健医療局・福祉局と懇談

公開日 2023年09月27日

 
保健医療局・福祉局からは、各課の担当者らが出席した。都
内の医療・介護や社会保障等多岐にわたる項目について要請
・意見交換した(9月7日、都庁第2本庁舎)

 協会は、小池百合子都知事に提出した「2024年度 東京都予算等に関する請願」に基づき、9月7日に東京都保健医療局・福祉局と懇談した。当日は須田昭夫会長をはじめ、協会役員8人が2時間にわたり要請・意見交換を行った。

看護職員の確保

 医療現場では恒常的な看護師不足が続いている。

 東京都では、2021年度の看護職員の離職率が全国で最も高く、正規職員で14・6%、新卒採用者で12・3%、既卒採用者で20・7%と、2020年度からさらに増加した(日本看護協会調査)。

 都からは、看護職員の再就業・定着に向けた取り組みとして、「就業相談会・実技体験会・元看護職員向けのイベントの開催とともに、再就業者に対する奨励金の支給を実施している」との回答があった。

物価高騰対策の拡充を

 昨今の物価高騰は医療機関にも影響を及ぼしている。

 2023年3月に協会が会員の医療機関を対象に実施したアンケート調査では、回答があった医療機関の97・1%で昨年の同時期と比べて電気料金が上昇しており、上昇率についても「3割以上」との回答が24・5%にのぼった。

 東京都の医療機関等物価高騰緊急対策支援金は、無床診療所に対しては1回のみ1万円の支給に留まり、物価高騰分を到底補えるものではない。

 都からは「必要に応じて国に対して診療報酬の適切な見直しを要求していく」との回答で、支援金の拡充に関しては言及がなかった。協会は都に対し、引き続き支援拡充を求めていく。

健康保険証廃止に伴う対応

 国が2024年秋に実施するとしている健康保険証の廃止に関して、協会は①保険証発行の継続を国に要望すること、または、②被保険者全員に資格確認書を発行し、有効期限を5年に延長することを国に要望すること、③短期証や資格証明書の廃止後も、国保料の滞納者に対し、保険料納付に関する相談の機会を確保すること等を要望した。

 ③に関し、都は「長期滞納者に保険料納付を促す取り組みとして、これまでの資格証明書交付に替えて特別療養費の支給に変更する旨の事前通知を行う」と回答した。

行政的医療に係る中期予算変更なし

 都立・公社病院については、これまで行政的医療(災害・感染症医療、高度な精神科医療、特殊救急医療等の採算が取れない医療)を担う役割を果たしてきたが、2022年7月に独立行政法人化されたことでその機能後退が懸念されている。協会は、独法化後も行政的医療に係る予算を東京都が負担し、その水準が独法化前と変わっていないことを改めて都に確認した。独法化により都民や議会のチェック機能が縮小される中、都立病院機構の機能が確保されるよう、引き続き監視を続ける。

PFAS汚染都に調査求める

 水道水にも使用される多摩地域の井戸水から、発がん性が疑われる有機フッ素化合物(PFAS)が検出されている。市民団体が多摩地域の15診療所で650人に採血を行った結果、335人(52%)から基準値を超える血中濃度のPFASが検出された。

 協会は都に対し、都内の地下水の汚染状況と原因、健康影響について調査するとともに、希望する都民に血液検査や健診を公害医療として公費で実施するよう、今後とも強く要請していく。

 その他、子ども医療費助成の多摩地域格差是正、国保加入者・後期高齢者の保険料負担軽減、3歳児健診時の弱視スクリーニング検査の実施、医療機関に対する個別指導の改善等、多岐にわたる要望を行った。

※本紙9月15日号から「シリーズ対都請願の論点」を連載中。

(『東京保険医新聞』2023年9月25日号掲載)