[要望書]新型コロナウイルス感染症に対する治療の公費負担を延長するとともに特例措置の延長及び新設点数「発熱患者等対応加算」引き上げに関する要望書

公開日 2024年03月06日

2024年2月14日

内閣総理大臣 岸田 文雄 殿
厚生労働大臣 武見 敬三 殿

  東京保険医協会

        審査指導対策部長 浜野 博
研究部長 申 偉秀

新型コロナウイルス感染症に対する治療の公費負担を延長するとともに
特例措置の延長及び新設点数「発熱患者等対応加算」引き上げに関する要望書

 

 新型コロナウイルス治療薬や入院費の公費支援について、4月以降は公費支援を終了し、自己負担を求める方針であることが報道されています。しかし、厚労省によると、全国の定点医療機関が報告した1月29日~2月4日の新型コロナウイルスの新規感染者数は計79,605人で、11週連続で増加し、東京においては入院患者数が1,820人となるなど、感染が急速に拡大しております。また今冬は「JN.1」など新たな変異株が確認され、第10波としても認識されつつあります。2023年10月に診療報酬上の特例措置や公費支援が見直された際、今冬の感染拡大状況を検証した上で4月以降の感染症対策を検討することとされていましたが、現時点で感染は拡大の一途を辿っており、4月以降も公費支援を行う必要があることは明らかです。

 また新型コロナウイルス後遺症の発症抑制効果としては、パキロビッド投与で26%(※1)、ラゲブリオ投与で14~16%(※2)、ゾコーバ投与で45%(※3)低下したという論文等も発表され、その有効性が認められています。未だ新型コロナウイルス感染者数は高止まっており、1割~2割程度は深刻な新型コロナウイルス後遺症が発症するなど、新型コロナウイルス治療薬の効果的投与が必要ですが、5類移行後、公費負担が大幅に縮小され、受診控えが多く発生しています。さらに2023年10月に新型コロナウイルス治療薬に対する公費支援に自己負担が導入されて以降は、検査や投薬を拒否する患者も多くみられるようになりました。

 国は新興感染症等の発生・まん延時の医療提供体制を確保するため、改定感染症法において医療措置協定を法定しました。2024年度診療報酬改定においては、外来感染対策向上加算の施設基準に「第二種協定指定医療機関であること」を追加し、さらに、適切な感染対策を講じた上で発熱患者等の診察を行った場合の発熱患者等対応加算(20点/月1回)を新設しました。しかし、現行の診療報酬上特例措置の同趣旨の加算点数147点(診療毎)に比べて、著しく低い評価で、諸物価高騰のおり、医療従事者の感染症対応のリスクと手間としてはあまりにも不十分です。

 以上のことから以下を再度、要望いたします。

一、新型コロナウイルス感染症が真にエンデミックとして落ち着くまでは、治療薬を全額公費負担とすること。また高額な入院医療費への公費負担を、4月以降も継続すること。

 

一、新型コロナウイルス感染症診療報酬上臨時的取扱いの特例措置について、診療報酬改定施行前の5月末まで延長するとともに、新設点数の「発熱患者等対応加算」を少なくとも現行の特例措置と同等の評価とすること。

以 上

※1(出典)BMJ掲載論文「Molnupiravir and risk of post-acute sequelae of covid-19: cohort study」2023年4月25日
※2(出典)JAMA掲載論文「Association of Treatment With Nirmatrelvir and the Risk of Post–COVID-19 Condition」2023年6月
※3(プレスリリース)SHIONOGI「COVID-19治療薬エンシトレルビルフマル酸によるウイルス力価の早期陰性化ならびに罹患後症状の発現リスクに対する低減効果について―国際学会CROI2023において新規データを発表」2023年2月22日



新型コロナウイルス感染症に対する治療の公費負担を延長するとともに特例措置の延長及び新設点数「発熱患者等対応加算」引き上げに関する要望書[PDF:184KB]