診療報酬改定通知 通知の差し替え 連発

公開日 2024年06月06日

 2024年度診療報酬改定情報は、厚生労働省の特設ページ「令和6年度診療報酬改定について」に順次掲載されているが、そのなかで厚労省が一部訂正通知に依らず、ホームページ上で通知のPDF等を差し替え、修正箇所を明示しない、いわゆる「サイレント修正」を頻繁に行っていることが問題となっている。その代表例を紹介する。

生活習慣病管理料Ⅱの包括範囲を変更

 3月5日に出された留意事項通知では生活習慣病管理料Ⅱの包括範囲について「第2章第1部医学管理等」の記載が、3月7日に差し替えられた留意事項通知では「第2章第1部第1節医学管理料等」と修正された(表1参照)。

 第1部医学管理等は、第1節医学管理料等と第3節特定保険医療材料で構成されている(第2節プログラム医療機器等医学管理加算は今回廃止)。3月5日の留意事項通知では第3節特定保険医療材料も包括されるが、3月7日の通知では算定できることになる。

 

事務連絡「疑義解釈」を修正

 事務連絡「疑義解釈資料の送付について(その1)」は3月28日に発表されたが、厚労省のホームページで3月29日に周知せずに差し替えられた。

 変更点は、抗菌薬適正使用体制加算についての問6で、①回答内の図表にあるデータ受付時期(予定)に日程を変更(2024年4月1日→4月9日)、②J―SIPHE及び診療所版J―SIPHEの参照先アドレスを追加、の2点の変更が行われた(表2参照)。

 

厚労省は通知・事務連絡の修正箇所を明示せよ

 以上紹介したとおり、「修正」の内容は誤字脱字の訂正だけではなく、算定や届出期間に関する重大な変更が含まれていた。最初に出されたデータのみを保存しており、修正に気づかなかった医療機関もある。

 「どこが修正されたのか」との保団連、協会の問い合わせに対して、厚労省からは明確な回答がない。

 医療者にはカルテ・レセプト等の文書の厳格な管理を求めながら、通知・事務連絡の内容変更について履歴を残さないということは法治国家として許されるものではなく、行政文書の信頼性を大きく損なうものだ。厚労省は、通知・事務連絡を修正する際はその都度、修正箇所を明示し、自ら周知を行う必要がある。

 今回の事態は、そもそもの診療報酬改定のスケジュールにも原因がある。2024年度改定は6月実施となったが、前回の2022年度4月改定時には誤った告示・通知のまま施行され、算定後に解釈が変更となるなど混乱をきたした。今回も同じ誤りを繰り返している。

 次回2026年度の改定実施が何月になるのか厚労省は明示していないが、正しい告示・通知の発出および十分な周知期間の確保を協会として強力に要請していく。

 

(『東京保険医新聞』2024年5月25日号掲載)