漢方薬研究会 冷え性に対する漢方薬治療 学ぶ

公開日 2024年07月13日

 6月9日、研究部は協会セミナールームにて漢方薬研究会をWeb併用で開催し、会場22人、Web16人の計38人が参加した。1月に開催した漢方薬研究会に引き続き、韋晴明氏(中野区・セイメイ内科院長)を講師に、前回の漢方薬の基礎知識や感冒治療といった初歩的な内容から発展し、今回は「冷えの漢方治療」をテーマとして開催した。

      
韋 晴明 氏

 講演では冒頭、冷え症の定義、冷えのある患者の特徴、冷え症の原因別の対策や冷え症のタイプ等を紹介した。その後、症状別に冷え症の原因の見分け方を説明し、それぞれどのような漢方薬を処方すべきか具体的な患者の症例とともに解説した。

 冷え症の治療は、同じ症状でも全身の衰え、胃腸機能の低下、循環障害、冷えのぼせなどの原因により使用すべき漢方薬が異なる。原因によって体の水分の不均衡を整える利水薬、内臓機能の改善、血流の改善、体を温める等の効果がある漢方薬をそれぞれ組み合わせ、症状によって薬の量の調整を行うことなどが求められる。

 韋氏は、東洋医学用語だけでなく西洋医学でも使われるが東洋医学ではイメージが異なる用語等も詳しく説明した。冷え症に特に有効である一方、中毒に注意を要する「附子」(トリカブトから作られる生薬)の使い方も紹介した。その他、漢方薬以外にも冷え症に効果的な食事、運動、入浴の仕方を説明した。

 質疑応答では「体を冷やすと言われている食材があるが、どの程度重視すべきか」「冷え症は脈が遅い患者に多いが、脈が速い患者への処方はどうすべきか」など多くの質問が出た。

 最後に中村副会長が、「今回も大変勉強になった。漢方薬はとっつきにくい部分もあるが、まずは一種類でも試してみると使いやすくなるのではないか」と挨拶し、閉会した。

 漢方薬研究会は今秋、引き続き韋氏を招き、別のテーマでの開催を予定している。

 

(『東京保険医新聞』2024年7月5日号掲載)