小児科の話題 幅広く懇談

公開日 2024年09月02日

 7月24日、研究部・組織部は協会セミナールームで小児科会員懇談会を開催し、会員12人が参加した。司会は協会理事の細部千晴氏(細部小児科クリニック)が務めた。

 はじめに、司会の細部氏から「本日は小児科の話題についてざっくばらんに発言し共有してほしい」と挨拶があり、開会した。

 話題提供として、「小児科に係る診療報酬改定のポイント」を事務局から解説した。変更があった小児特定疾患カウンセリング料や新設されたベースアップ評価料、抗菌薬適正使用加算等について算定に係る質問や意見があがり、「新設の点数は届出要件が複雑すぎて算定できない」といった意見が出た。

 
 司会の細部千晴理事

小児科健診の現状をはじめ活発に意見交換

 懇談では、小児科健診を中心に意見交換が行われた。現在、メディアを中心に小児科健診を着衣で行うか、脱衣で行うかが議論になっている。

 会場では、都内自治体によって方針が異なり、小学生への健診は今年から着衣健診が求められるケースが増えているほか、一部自治体では保育園児への健診でも原則として着衣健診を求められるケースがあること等が情報交換された。また、健診の通達では着衣健診推奨でもマニュアルは脱衣健診推奨になっていたり、脱衣でなければできない診察内容がマニュアルに書かれていたりするなど混乱が生じている現状等を共有した。

 「着衣健診だと観察できる部分に大幅な制限が出る。胸郭の変形や脚のゆがみなどしっかり確認できず医師として歯がゆい思いだ」「一部の保護者からの強い要望で保育園が動かざるをえなくなり、その施設の子ども全体が必要な健診を受けられなくなっていることに問題を感じている」等の意見のほか、「原則着衣健診をするよう通達が来ているが、保護者と子どもにそれぞれ脱衣健診により見つけられる疾患のことを説明し、同意を得て個室で看護師付き添いのうえで脱衣健診を行っている。保護者に健診の医学的な必要性をしっかり説明していくことが重要だ。しかし、医師の負担も大きくなる」といった意見も出た。

 その他、医療的ケア児の診療を行っている会員から話題提供があった。自身の診療の現状について報告したほか、「外来では対応可能である一方、在宅では診療報酬の低さや東京の医療機関の外来診療時間の長さから対応が難しいといった課題がある」等、率直な発言があった。

 参加者からは「悩みはみんな同じだとわかり、良い経験になった」「日々の診療と異なる話題で新鮮だった。また参加したい」などの声が寄せられた。

 最後に、司会の細部氏から閉会挨拶があり、盛況のうちに閉会した。

 
 2024年度診療報酬改定や、日常診療での課題や悩みについて、忌憚ない意見が交わされた(7月24日、セミナールーム)

(『東京保険医新聞』2024年8月25日号掲載)