公開日 2024年09月02日
厚労省の「かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会」は7月19日、報告書をまとめた。医療機関に報告を求める具体的なかかりつけ医機能を示したほか、機能を確保するため、医師研修の充実の必要性にも言及した。
かかりつけ医機能報告制度は2025年4月から施行される。報告は2段階からなり、まず都道府県知事はかかりつけ医機能の「1号機能(発生頻度が高い疾患に係る診療や日常的な診療を統合的かつ継続的に行うための機能)」について、特定機能病院・歯科医療機関を除く病院・診療所に報告を求める。具体的な報告項目は「1次診療の対応可能な診療領域(診療科目に近い)や疾患」「かかりつけ医機能に関する研修修了者・総合診療専門医の有無」など。制度施行5年をめどに再検討を行う。1号機能があると確認できた医療機関には、「2号機能(通常の診療時間外対応、入退院時支援、在宅医療、介護サービス連携など)」の報告を求める。
報告は年1回定期的に行い、都道府県知事は報告内容をもとに医療機関の内容をネット検索できるシステムなどで公表し、患者に適切な受診先の選択を促す。報告書には機能確保に向けた医師教育・研修についても取り入れられた。
この間、医療機関はマイナ保険証によるオンライン資格確認に対する対応等「医療DX」への対応を次々と求められ、現場は著しく疲弊している。このうえ、かかりつけ医機能報告制度で閉院を余儀なくされる医療機関が増加することが危惧される。さらに、研修要件や専門医要件が求められると医療機関の間にも分断と差別が持ち込まれかねない。
保団連は7月3日、「高齢で零細な医療機関などの報告は任意にとどめること」「診療報酬・補助金等の抜本的改善、医療専門職の抜本的増員」など18項目に関わる要望書を厚労省宛てに提出した。協会も引き続き、情報収集に努めるとともに、保団連とともに運動を進める。
(『東京保険医新聞』2024年8月25日号掲載)