2025年度対都予算請願 東京都保健医療局・福祉局と懇談

公開日 2024年10月04日

 
2時間にわたり都の担当者へ要請し、意見を交換した(9月12日、都庁第二本庁舎)

  協会は9月12日、都庁第二本庁舎で東京都保健医療局・福祉局と懇談した。協会からは須田昭夫会長をはじめ役員6人が参加し、小池百合子都知事に提出した「2025年度東京都予算等に関する請願」に基づき、2時間にわたり要請・意見交換を行った。

オンライン資格確認未導入による行政指導なし

 2023年4月以降、医療機関に対しオンライン資格確認システム(オン資)導入が原則義務化され、厚労省は、オン資未導入の場合は「地方厚生局による懇切丁寧な指導等が行われることになるが、具体的には個別事案ごとに適宜判断する」と説明していた。

 協会は、オン資未導入を理由とする個別指導は行わないよう都に要請を行い、都からは「東京都においてオン資未導入を以って医療機関に改善を求めた事例は現時点でない」との回答を得た。

健康保険証廃止に伴う対応

 2024年12月2日に予定される健康保険証の新規発行停止について、協会は、①保険証発行を継続すること、②少なくとも「資格確認書」は全ての被保険者に発行することを国に要望するよう都に訴えた。

 都からは、「マイナ保険証への一体化に向けては被保険者・医療機関の理解を得られるよう制度周知や環境整備を国に求めている」「資格確認書の一律交付について、国への照会結果は『マイナ保険証普及の観点から望ましくない』であった」と回答があった。

医療措置協定 医療機関の事情で解約可能

 COVID―19の感染拡大を踏まえ、今後の感染症発生・まん延時に医療提供体制を確保するため、都道府県と各医療機関とで「医療措置協定」の締結が進められている。対応が求められる感染症の性状が分からない中で協定を結ばなければならない医療機関側はリスク負担が大きい。

 都からは、「医療措置協定はCOVID―19に相当する感染症を想定したものであるため、感染症の性状等により履行が困難な場合は協定の解約が可能である」との回答があった。

マル青継続の財源は「区市町村と協議中」

 東京都では2023年度から高校生等医療費助成制度(マル青)が開始されたが、義務教育就学児医療費助成制度(マル子)と同様に所得制限や通院時自己負担(200円)の自治体間格差が生じている。格差是正のため、協会は都に所得制限・通院時自己負担の撤廃を求めたが、「現時点で撤廃する予定はない」との回答だった。

 また、マル青について2023~2025年度は都が経費を全額負担することとなっているが、2026年度以降の都と区市町村の負担割合は未定だ。都が全額負担を止めれば助成制度を継続できない区市町村が発生する懸念がある。協会はマル青を確実に継続するよう求めたが、都からは「2026年度以降の財源については区市町村と協議中」との回答に留まった。

※小池都知事は9月18日の所信表明で、2025年10月から高校生以下の医療費助成の所得制限を撤廃する方針を示した。

都立病院の基本方針と予算 変更なし

 都立・公社病院については、これまで行政的医療を担う役割を果たしてきたが、2022年7月に独立行政法人化されたことでその機能後退が懸念されている。独法化前と比較して、①中期目標の基本方針と予算(東京都による運営費負担金)に変更がないこと、②診療科を縮小した病院はないこと、③差額ベッド代を引き上げた病院はないこと、④2019年度と同程度の人員を確保していること、等を都に確認した。独法化後も都立病院における行政的医療が確保されるよう協会は引き続き監視を続ける。

 その他、国保加入者・後期高齢者の保険料負担軽減、保健所機能の拡充、高齢者が補聴器を購入する際の助成拡充、PFASによる汚染状況・健康被害の調査等、多岐にわたる要望を行った。協会は今後も必要な要望を東京都に対して実施していく。

※9月15日号から「シリーズ対都請願の論点」を連載中。

(『東京保険医新聞』2024年9月25日号掲載)