公開日 2024年11月08日
厚労省は10月9日に事務連絡「マイナ保険証の利用登録解除の運用について」を発出した。
10月28日からシステム上、解除に対応できるようになり、解除希望者は加入する保険者に書面で申請を行うことで解除できる。保険者の準備状況によっては、10月28日以前から申請が受け付けられる。健康保険証の新規発行を終了する12月2日以降も申請は可能である。
以下、当該事務連絡の内容を基に解説する。
資格確認書の交付には利用登録解除が必要
これまで、マイナ保険証の登録を一旦行うと登録を解除する方法はなかった。12月2日に現行の健康保険証の新規発行が停止された後、現行の健康保険証と同じ機能を持つ「資格確認書」が、当面の間申請によらず交付されるが、マイナ保険証の登録を行っている人は交付対象に含まれていない(※自治体によってはマイナ保険証登録を行っていても、申請に基づき資格確認書を発行するとしている)。
そのため、マイナ保険証の登録を行っているが、使用に不安がある場合などは、登録の解除申請を行い、資格確認書の交付を受ける必要がある。
登録解除の流れ
マイナ保険証の利用登録の解除を行うには、解除を希望する本人が加入している健康保険の保険者に解除申請書を提出する必要がある。解除申請書の書式については、厚労省が作成したひな形を基に、各保険者がそれぞれ作成する。
解除申請書には氏名、生年月日、住所、連絡先、被保険者等記号・番号の他、「解除を希望する理由」の欄が設けられている。
解除申請を受けた保険者は、申請の内容を確認した上で、資格確認書の交付手続きを行う。また、中間サーバーを通じてマイナ保険証の利用登録解除依頼を行い、オンライン資格確認等システムが利用登録の解除を実行する(下図参照)。解除申請から実際に解除が行われるまでは1~2カ月を要する。
資格確認書はマイナ保険証の利用登録解除が実行されるまでの間に交付されることとなっており、「切れ目ない交付」が謳われている。ただし、解除申請を行った後、解除が実行されるまでの間に別の保険者に加入した場合、新規加入先の保険者は解除申請が行われたことを把握していないため、加入者自身が新しい加入先保険者に、利用登録の解除申請を行った旨を伝え、資格確認書の交付を求める必要がある。
利用登録解除のハードルを下げよ
現在、マイナ保険証の利用登録はマイナポータルの他、医療機関・薬局の受付のカードリーダーや、セブン銀行ATMからも行うことが可能となっている。政府は様々なメディアを動員してマイナ保険証登録を促し、医療機関・薬局には窓口での患者への声掛けを求め、マイナ保険証利用率の増加割合に応じた一時金を支給する等、マイナ保険証普及促進のためにあらゆる手段を尽くしてきた。
しかし、マイナ保険証の登録解除は紙の申請書類を原則としており、その書式は統一されたものではなく、各保険者から入手する必要がある。マイナ保険証利用登録方法の簡易さに比べて、登録解除のハードルが不必要に高く、公正さを欠いている。
自治体によっては、オンラインでの登録解除申請を受け付けているが、国の責任において、WEB上で解除申請を行える体制を構築すべきだ。また、資格確認書の発行やマイナ保険証の登録解除について、国の責任で国民に周知することが求められる。
そもそも、マイナ保険証登録者をわざわざ対象から外して資格確認書を送付する手続き自体が、煩雑で保険者にとって負担となり、送付ミスを誘発するものだ。また、マイナ保険証によるオンライン資格確認はトラブルが現在も多発しており、トラブル時の代替手段として健康保険証(資格確認書)を使えるようにすべきだ。
協会は、マイナ保険証を登録しているか否かにかかわらず、現行の健康保険証と同様に、全ての被保険者に資格確認書を発行することを強く要請していく。
(『東京保険医新聞』2024年10月25日号掲載)