[要望書]2024年度診療報酬改定の不合理是正及び期中改定の実施に係る要望書

公開日 2024年12月02日

2024年11月1日

内閣総理大臣 石破 茂 殿
厚生労働大臣 福岡 資麿 殿

厚生労働省保険局医療課長 林 修一郎 殿

中央社会保険医療協議会会長 小塩 隆士 殿

  東京保険医協会

        審査指導対策部長 浜野 博
研究部長 申 偉秀

 

2024年度診療報酬改定の不合理是正及び期中改定の実施に係る要望書

 

 

 当会では、2024年度診療報酬改定の施行から3カ月間(6~8月)における改定影響調査を実施しました。その結果、今次改定が外来医療を担う医療機関において、実質マイナス改定であった実態が明らかとなりました(※アンケート結果については11月5日号参照)。

 アンケート調査で、2023年と2024年のそれぞれ6~8月の3カ月間の保険診療収入の増減を比較したところ、減収に追い込まれた医療機関が約6割を占めました。減収の割合は「1~2割未満」が約半数で、「3割未満」を含めると7割超となり、「4割を超える」減収を訴える医療機関も5%存在しています。

 2024年3月を以って新型コロナウイルス感染症の特例措置が終了し、発熱等外来に対する評価が新設された「発熱患者等対応加算」のみとなりました。アンケート調査では2023年6~8月時点で算定していた「院内トリアージ実施料」(300点)と2024年6~8月時点の「発熱患者等対応加算」(20点/月1回)について算定点数を比較したところ、3カ月間で平均100万円超の減収であることが明らかとなりました。さらに、新型コロナウイルス関連検査の実施料が大幅に引き下げられ、3カ月の比較でSARS-COV-2抗原定性で平均約7万円の減収、SARS-COV-2・インフルエンザウイルス抗原同時検出定性で平均約17万円の減収となる結果が出ました。医療現場での感染症対策は継続しており、各種点数の引き下げが医業経営に深刻な影響を与えています。

 「特定疾患療養管理料」から「生活習慣病管理料(Ⅰ)・(Ⅱ)」への再編も、内科系診療所にとっては大幅な負担となっています。生活習慣病と特定疾患を併せ持つ患者も多く、月毎に「主病」の判定が求められる等、医療機関・患者双方にとって分かりにくく、医療現場で混乱を招いています。生活習慣病の適切な目標達成のため従来から月複数回の管理指導が必要なケースも多く、一律に月1回の管理では管理不十分との指摘があります。また、生活習慣病管理料の算定要件の「概ね4カ月毎の療養計画書の交付」については、療養計画書による管理が適さない患者もおり、一律の交付要件は実態にそぐわず、医師・看護師等への負担のみが増大しています。

 今次改定においては、基本診療料がわずかに引き上げられましたが、諸物価高騰に全く追い付かず、また、明確な根拠も示さずに処方箋料をはじめとする各種項目が引き下げられました。改定後3カ月の状況からも、緊急に不合理是正が求められます。このままでは、医業経営が立ち行かず閉院を余儀なくされる医療機関の増加も懸念されます。2年後の診療報酬改定を待たず、少なくとも以下については、ただちに期中改定を行うことを緊急に要望致します。

 

 

1.各種感染症患者が増加する中、発熱等外来への適切な評価が求められるため「感染症対策体制加算(300点)」を新設し受診の都度、算定を認めること。また、外来感染対策向上加算における「第二種協定指定医療機関である」との施設基準の経過措置が本年12月末までとなっているが、発熱外来に対応する医療機関が減少し「受診難民」が生じることのないよう、経過措置を延長すること。

2.生活習慣病管理料(Ⅱ)において月2回以上の管理が必要な場合は、月2回の管理料の算定を認め、少なくとも特定疾患療養管理料を2回算定した場合の点数と同等の評価とすること。生活習慣病管理料における療養計画書の交付の頻度については、必要に応じた交付とし、療養上の変化がなく安定している患者については、概ね1年に1回の交付に変更すること。

3.通院・在宅精神療法「ハ イ及びロ以外の場合」の「30分未満の通院精神療法を行った場合」の点数が引き下げられた影響が大きいため、少なくとも従来の点数に戻すこと。

4.ベースアップ評価料の届出については、9月に様式が簡略化されたが、未だ複雑かつ煩雑であることに変わりがないため、一層の簡略化を図ること。

5.すべての医療機関における医療従事者の賃金引き上げを可能にし、併せて諸物価高騰への対応と診療報酬の不合理が改善できるように、初・再診料をはじめとする基本診療料の引き上げを行うこと。

以 上


2024年度診療報酬改定の不合理是正及び期中改定の実施に係る要望書[PDF:346KB]