公開日 2025年05月13日
2024年12月に従来の健康保険証の新規発行が停止され、マイナ保険証によるオンライン資格確認(以下、オン資)が原則とされた。
しかし、顔認証付カードリーダーを用いた環境構築には多大な手間と費用がかかる上、ネットワークや顔認証の不具合により資格確認が一時的に不可能になるなどのトラブルが後を絶たない。
2024年10月から、Windowsパソコンやスマートフォンで利用できる「マイナ資格確認アプリ」が使えるようになっている。これまでオン資導入経過措置対象医療機関、紙レセプト医療機関、訪問診療等・訪問看護を行う医療機関で利用可能とされていたが、現在「外来診療等(通常とは異なる動線)」でも利用可能となっている。
マイナ資格確認アプリを使用することで、スマートフォンや汎用型カードリーダーを用いて簡便にオンライン資格確認を行うことができる。本記事では、マイナ資格確認アプリを用いたオン資の導入方法について解説する。
■ 対象
Ⅰ.オン資導入経過措置対象医療機関または紙レセプト医療機関
「オン資導入経過措置対象医療機関」とは、「オンライン資格確認導入の猶予届出書」(※理由の類型:ネットワーク環境事情、改築工事中・臨時施設、その他特に困難な事情)を厚生局に提出し受理されている医療機関を指す(届出済みであることが必要)。
Ⅱ.訪問診療等・訪問看護を行う医療機関(オン資導入済みが要件)
Ⅲ.通常とは異なる動線で外来診療を行う医療機関(オン資導入済みが要件)
発熱外来等、通常とは異なる動線で資格確認を行うケースが想定されている。
■ 導入手順 ※詳しい手順の説明は協会ホームページ参照
Ⅰ.オン資導入経過措置対象医療機関または紙レセプト医療機関
①医療機関等向け総合ポータルサイト(https://iryohokenjyoho.service-now.com/csm、以下「ポータルサイト」)へアクセスし、新規ユーザー登録を行う。
②ポータルサイトにログインし、「義務化対象外機関(紙レセプト請求等)【モバイル端末等】」または「経過措置機関【モバイル端末等】」からマイナ資格確認アプリの利用開始申請を行う。
③利用開始申請の受付が完了したら、運用開始日の登録を行う。
④Windowsパソコンと汎用型カードリーダー、もしくはマイナンバーカード読み取り可能なスマートフォン(iPhoneまたはAndroid)を用意する。
⑤マイナ資格確認アプリをダウンロード・インストールする(Windows用またはiPhone、Android用)。
⑥資格確認の際は、マイナンバーカードを汎用型カードリーダーまたはスマートフォンに読み込ませることで、資格情報を表示できる。
パソコンと汎用カードリーダーの設置イメージ
Ⅱ.訪問診療等・訪問看護を行う医療機関、通常とは異なる動線で外来診療を行う医療機関(オン資導入済みが要件)
①オンライン資格確認端末の管理者画面メニューの「マイナ資格確認アプリ管理」からアクティベーションコード管理画面を開き、マイナ資格確認アプリを利用するためのアクティベーションコードを発行する。
以降はⅠ.④~⑥の手順と同様である。
通常のオン資はVPN(仮想専用通信網)を使用した専用回線の導入が必要だが、資格確認限定型では通常のインターネット環境があればよく、簡便かつ安価で導入可能である。
保険医協会はオン資を推進する立場ではないが、オン資義務化への対応が困難であること等を理由に閉院を考えている会員や、オン資導入済みでも患者の動線を分ける場合等には、資格確認アプリの導入を検討いただきたい。
※導入にあたっての個別のエラー等については、医療機関等向け総合ポータルサイトまたはオンライン資格確認等コールセンター 0800(080)4583までお問い合わせください。
(『東京保険医新聞』2025年4月25日号掲載)