公開日 2025年06月27日
経営税務部は5月24日、あいおいニッセイホールにて、大和万知氏(株式会社日本医業総研)を講師に招き、接遇マナー講習会を開催した。クリニックの接遇力向上を目指し、130人が参加した。接遇における第一印象の重要性からクレーム対応まで、実践的な内容を通じて患者との良好な関係構築の鍵を学んだ。
大和氏はまず、「第一印象は一瞬で決まる」ため、忙しい日常業務の中でも姿勢や表情を意識することが肝要だと述べた。参加者は笑顔や相槌の有無で相手の感じ方がどのように変わるのか、レクリエーションを通じて接遇の重要性を学んだ。
接遇の基本として、①挨拶、②表情、③身だしなみ、④立ち居振る舞い、⑤言葉遣いの5つが挙がった。挨拶は相手の挨拶に返すのではなく、自分から進んで行うことや、笑顔で行うことなどがポイントだ。笑顔に自信がない場合でも、口角を上げる練習をすることで自然な笑顔が身につくとアドバイスした。
身だしなみについては、病院(hospital)は体調を崩した高齢患者も多く、相手への思いやり(hospitality)が求められることから、自分のためである「おしゃれ」とは分けて考えるべきと指摘した。加えて清潔で健康的な印象を与えるための髪型や香りなどに関する具体的な注意点を示した。
立ち居振る舞いでは、何気なく姿勢を崩す、顎で方向を指し示すなどのマナー違反事例を挙げた。そうした行為は患者からよく見られているため、患者の前では舞台に立っていると考え、常に観客に見られているような意識付けが有効であると述べた。
さらに、クレーム対応の基礎知識として、「クレームは氷山の一角である」という認識を持ち、院内の課題に気づかせてくれる貴重な「ご意見」と捉えるべきと強調した。クレーム対応には正解がないとした上で、こじらせないためにも初期対応が重要であり、相手の気持ちに共感する姿勢、事実確認、可能な範囲での解決策の提示といった具体的な対応ポイントを挙げた。話の途中で口を挟む等といった「してはいけない対応」についても注意喚起した。
参加者からは、「日常業務をしていると、つい気が抜けてしまいがちな表情や姿勢など、具体的な話が聞けてわかりやすかった」等の声が出た。
実技の様子
(『東京保険医新聞』2025年6月25日号掲載)