内科会員懇談会 次期改定・これからの医療について意見交換

公開日 2025年08月26日

 組織部と研究部は7月23日、セミナールームで内科会員懇談会を開催し、会員22人が参加した。2023年に続き開催された今回は、2024年度診療報酬改定を踏まえ、次期改定および今後の医療提供体制についての意見交換をメインに行った。

 最初に事務局から、現在厚労省の審議会等で議論されている2026年度診療報酬改定に関する動向について話題提供した。中央社会保険医療協議会(中医協)では、次期診療報酬改定に向けた検討が行われており、診療報酬が諸物価高騰に追い付いていない、要件緩和によって不適切なオンライン診療の事例が発生している等の意見が出ていることが報告された。

 
「『資格確認書』を保険者に発行してもらいましょう」ポスター を紹介する司会の申理事

診療報酬引き上げ・報酬体系の改善望む声多数

 司会の申偉秀理事が医療情勢について解説した。

 2024年度診療報酬改定から1年が経過した。全国保険医団体連合会が実施したアンケート調査で、改定がもたらした医業経営への深刻な影響が明らかになっている(調査結果は、本紙7月25日号で既報)。

 本懇談会の参加者を対象に行った事前アンケートでも、17件の回答の内11人が2024年3~5月比で診療報酬収入が「減った」と回答し、10人が患者数が「減った」と回答している。

 各アンケート結果について参加者から、「長期的には、予防接種により小児感染症の絶対数が減ったことも一因ではないか」との指摘があった。「コロナ禍を経て、患者さんが戻ってこない」「若年層が一定数オンライン診療に流れている印象を受ける」「これまでケアマネジャーからの紹介や口コミに頼っていたが、馴染みのケアマネジャーが引退した影響で紹介による来院が減っており、今後の検討課題だ」との発言もあった。

 次期改定に向けては、加算ではなく初再診料本体の引き上げ、ますます複雑化した診療報酬体系の抜本的な改善を望む声が相次いだ。そのほか、今次改定で行われた生活習慣病管理料の再編に伴う療養計画書作成にかかる事務負担や患者の窓口負担増を疑問視する意見が出された。

 最後に、申理事から支払基金が公表している「支払基金における審査の一般的な取扱い」の内容の紹介があった。600件を超える事例が基金ホームページに掲載され、これまでの取り扱いから変更になっているものがあると注意を呼びかけた。

 OTC類似薬の保険外しや標準型電子カルテの導入、マイナ保険証をめぐる問題、病床11万床削減を含む医療費削減策など、医療情勢は目まぐるしく動いている。当日は、「都内は、『外来医師過多区域』として診療報酬単価引き下げの対象となるのではないか」「診療報酬改定の議論が財界主導で行われている現状は理解に苦しむ」など医療の今後を懸念する声も上がった。

 協会は、引き続き本格化する次期改定に向けた議論に対し声をあげ、医療機関の経営を守る取り組みを強めていく。

 
 当日はフロアーから活発な意見が出た(7月23日、セミナールーム)

(『東京保険医新聞』2025年8月25日号掲載)