公開日 2025年09月08日
2025年8月8日
内閣総理大臣 石破 茂 殿
厚生労働大臣 福岡 資麿 殿
中央社会保険医療協議会会長 小塩 隆士 殿
東京保険医協会
審査指導対策部長 浜野 博
研究部長 申 偉秀
2026年度診療報酬改定に向けた要望書
2024年度診療報酬改定では、特定疾患療養管理料の対象から脂質異常症、高血圧及び糖尿病が除外され、生活習慣病管理料(Ⅰ)又は新設された生活習慣病管理料(Ⅱ)の対象とされました。本改定では内科の医療機関を狙い撃ちにし、改定率でマイナス0.25%の削減が行われました。その影響は甚大で、全国保険医団体連合会(以下「保団連」)が2024年2~3月に実施した「物価高騰に関する医療機関の緊急影響調査」では、東京都内の医療機関の7割超が改定後の収入が「下がった」と回答しています。
生活習慣病管理料は、状態が安定している患者でも概ね4月に1回は療養計画書を交付することとされていますが、保団連が2025年3~4月に実施した「生活習慣病の医学管理並びに感染症対策に係る診療報酬上の評価に関する会員アンケート」では、東京の医療機関の6割超が療養計画書は「あまり又は全く役立っていない」「紙の印刷が指導時間を圧迫し、DX化と逆行」と回答しています。「生活習慣病管理料の包括範囲が広すぎる」「算定できない項目の費用の持ち出しを懸念する」という回答も多く寄せられています。
そもそも生活習慣病管理料は、2002年までは運動療法指導管理料として、高脂血症(脂質異常症)、高血圧症及び糖尿病患者の中でも運動療法を含む生活習慣の指導によって症状改善が見込める一般患者を対象とした管理料でした。対象者のすみ分けにより特定疾患療養管理料と長年併存していたのであり、生活習慣病管理料への一本化は、現場の実態を無視した改定と言わざるを得ません。
感染症対策については、同アンケートでは「診療報酬上あまり評価されていない」(53%)。「全く評価されていない」(21%)という声が多く寄せられ、多くの医療機関が「感染症対策に必要な物品代(消毒液、マスクなど)の高騰に見合わない」「感染のリスクが経費と見合っていない」と感じています。
以上を踏まえ、以下の項目を要望致します。
記
一.基本診療料を中心とする診療報酬の十分な引き上げを行うこと。
一.脂質異常症、高血圧症及び糖尿病の患者については、特定疾患療養管理料または生活習慣病管理料(現行の生活習慣病管理料(Ⅰ))で管理するかを医療機関で選択できるよう、2024年度改定以前の取扱いに戻すこと。
一.生活習慣病管理料の療養計画書の交付は概ね4月に1回以上から年1回以上に変更し、糖尿病の場合は歯科受診・眼科受診を促す項目を追加すること。
一.生活習慣病管理料の包括範囲を見直すこと。脂質異常症、高血圧及び糖尿病の患者は他の慢性疾患を併発していることがあり、悪性腫瘍特異物質治療管理料等の医学管理の他、3疾病の管理とは関連しない傷病手当金意見書交付料等は併算定可能とすること。
一.外来感染対策向上加算に設けられている発熱患者等対応加算を、「感染症対策体制加算」に改めた上で現行の20点から引き上げ、月1回ではなく受診の都度算定可能とすること。
以 上