東京都保健医療局・福祉局と懇談

公開日 2025年10月22日

 
医療・介護現場における人材不足問題や子ども医療費助成の拡充、資格確認書一律交付等について懇談した(9月18日、都庁第一本庁舎)

 9月18日、協会は東京都保健医療局・福祉局と都庁第一本庁舎で、小池百合子都知事に提出した「2026年度東京都予算等に関する請願」に基づき、要請・意見交換を行った。都側からは各要請に係る担当者らが参加し、協会からは須田昭夫会長ら役員9人が参加した。

看護・介護職員の確保に向けた取り組み

 協会からは医療・介護現場での人材不足の解決に向け、就業者数の減少が見られる都ナースバンク事業の一層の強化、再就業の支援、看護・介護職員向けの住宅補助の拡充等を求めた。 

 都からは、ナースバンク事業の就業者実績は減少傾向ではあるもののコロナ前より増加しており、自治体等と連携した相談会の開催、看護補助者向けの紹介事業の開始などの取り組みも行っていると回答があった。

物価高騰、診療報酬の抑制で経営状況が悪化する医療機関への支援

 現在、民間病院は6~7割が医業利益で赤字に陥っている。国が創設した補助金は病床削減が前提であり、更に病院経営の首を絞めかねない条件が設けられている。協会は診療所も含む医療機関全体の苦境を訴え、補助金の創設と国に対して抜本的な診療報酬の引き上げを要請するよう当局へ強く要望した。

 都からは現在、都独自の病院の経営状況調査を進めており、結果に応じて対策を検討する、また、診療報酬の引き上げを引き続き国に求めて行く等の回答があった。

子ども医療費助成の拡充

 都は2025年10月からすべての都内自治体でマル子・マル青の所得制限を撤廃した。しかし、マル子・マル青における通院時1回200円の自己負担は残存し、自己負担分を独自に補助している自治体とそうでない自治体との格差は依然として解消されていない。協会は都が率先して窓口負担200円を撤廃し、18歳までの子ども医療費を東京都全域で完全無償化するよう求めた。

 都は、あくまで子ども医療費助成の実施主体は区市町村であるとの姿勢を崩さず、引き続き、各区市町村の助成状況一覧を全自治体に共有する等の対応を行うと回答した。

健康保険証廃止に伴う対応

 健康保険証の新規発行停止以降も、マイナ保険証によるオンライン資格確認では様々なトラブルが発生している。協会は資格確認に関する混乱を避けるため、国民健康保険の被保険者に対して資格確認書の一律交付を区市町村に働きかけるよう要望した。

 都は、国保については制度設計者である国が責任を持って対応すべきとの態度であったが、「医療現場が混乱しているという声は届いているため、適切な対策を取ることを国に要望していく」と回答した。

 その他、国保加入者・後期高齢者の保険料負担軽減、保健所機能の拡充、高齢者の補聴器購入助成拡充や健診事業の拡充・改善等、幅広い分野について要望を行った。

 協会は今後も東京都への要望活動を進めていく。

(『東京保険医新聞』2025年10月15日号掲載)