各科別会員懇談会を開催

公開日 2025年11月19日

 組織部と研究部は、10月22日に在宅医療会員懇談会、10月25日に耳鼻咽喉科会員懇談会を協会セミナールームで開催した。それぞれ、11人、5人が参加した。

 以下、当日の懇談会の模様を紹介する。

【在宅医療】実例を通して地域医療の展望語り合う

 2023年から3年連続の開催となった今回は、30年以上在宅医療に従事する会員から医院継承直後、これから在宅医療を始める予定の会員などが集まった。

 懇談に先立ち、中村集理事が、実際に行っている診療を基に、在宅医療について説明、注意すべき点を述べた。

 その後の懇談では、在宅医療を行う上で心配なこと、困っていることを話題に意見交換を行い、標榜、経験を問わず日頃感じていることや地域医療の課題と展望を活発に話し合った。

 在宅患者は、近隣の病院、開業前に勤務していた病院など個人的につながりのある医療機関、訪問看護師(以下、訪看)やケアマネジャー(以下、ケアマネ)から紹介を受けることが中心となること、連携医療機関と協力して往診の体制を確保すること、看取りになりそうな患者、家族への対応など在宅医療のポイントが紹介された。

 院長が休日、休暇または急病の場合の対応は、連携医療機関に依頼しないと、診療所側の医師の負担が重くなる。強化型支援診療所として届出をしない場合でも依頼できる協力医療機関を確保することが望ましい。

 また、在宅医療で心配な点については、医薬品や各種物品の購入、在庫管理が挙げられた。患者によっては物品を指定する場合もあるが、全てに対応はできないとの意見があった。

 訪看、ケアマネ等との連携については、ケアマネに任せて、書類提出のみでケアカンファレンスに出席していない医師が多いようだとの情報提供があった。ケアマネは医療側の判断や知識を必要としていること、看護師も自身のスキルアップのために意欲的に参加してもらえる場合もあり、医師の積極的な参加、意見交換、指導が求められているとの発言が出た。

 その他、緊急往診や訪問診療をする場合の自動車の使用について、駐車禁止等除外標章の活用が有用であり、協会を通して申請を行えることの紹介があった。

 参加者からは、「他の人も自分と同じ悩みを持ち、また同じように在宅医療に取り組んでいることを知ることができてよかった」「手探りでやっていたが会に参加したことにより様々な経験と実践に基づく意見が聞けた。今後の参考になった」と次回の開催を望む声もあり、盛況のうちに閉会した。


司会の中村集理事

【耳鼻咽喉科】指導や診療報酬、医療情勢について交流

 平野浩二理事の司会の下、耳鼻科の個別指導や各自治体毎の補聴器補助金等の話題提供の後、自己紹介を交えながら懇談が行われた。

 指導の話題では、新規指導をまだ受けていない参加者へ既に指導を受けた参加者から体験談やアドバイスがあり「聴力検査の結果を別フォルダに保存していたため、電子カルテに記載しているとみなされなかったので気を付けてほしい」「新型コロナ患者を多く診療しているために集団的個別指導の選定対象となった。コロナ禍で貢献したのに心外だが、出席しないと個別指導に移行してしまう。他の先生方もしっかり出席だけはするようにしてほしい」といった情報提供があった。

 また、保険請求の内容についても話題になった。初再診料や病名について「健診と同時に通常の診療を行う場合や、自費診療と並行している場合どうしたらいいのか」「レセプトの保険病名は禁忌とされるが、薬の適用病名の都合を考えるとどうしたらよいか」といった質問があり、厚労省の告示・通知に基づいて解説した。

 医療情勢の話題では「夜間、深夜を中心に診療しているある法人系列の小児科医療機関を受診した患者を自院で診察したところ、適切な処置、投薬がなされず、解熱鎮痛剤、抗生剤だけを処方されて、たらい回しにされている事例を知った。夜間に最小限の診療で高点数を取り、他院に患者を放り出すのはいかがなものか」と地域とつながらない利益重視の医療法人に批判の声があがった。また、病院から小児科がなくなりつつあり、「重症患者を紹介できない」と切実な声も出た。

 最後に平野理事から「耳鼻科は会員が少ないが、少しでも交流の場ができるように今後も開催していきたい」と挨拶があり、盛況のうちに閉会した。


当日の模様(10月25日、セミナールーム)

(『東京保険医新聞』2025年11月15日号掲載)