公開日 2025年11月18日

- 懇談の模様(10月17日、都議会議事堂会議室)
協会は10月17日、都議会議事堂会議室にて、都議会 無所属「東京・品川からやさしい未来を」のしのはらりか都議と懇談した。
協会からは、須田昭夫会長、水山和之副会長、細部千晴理事が参加し、小池百合子都知事に提出した「2026年度東京都予算等に関する請願」に基づき意見交換した。
医療提供体制の充実に向けて
医療機関では恒常的な看護師不足が続き、看護師確保が喫緊の課題となっている。
看護師の確保にあたって問題となっているのが、民間の有料職業紹介事業者を通じた採用だ。民間の有料職業紹介事業者を介して看護師を採用すると高額な手数料を徴収される上に、事業者が看護師に短期間での転職を促すことから医療機関に看護師が定着しない。しのはら都議は「無料の都ナースバンクの充実を図ることが重要だ。民間の有料職業紹介事業者へ支払う高額な手数料はいわば無駄金であり、このような状況に都は対処するべきだ」と理解を示した。
都立病院が独法化されて3年が経過したが、都立病院には民間病院が担うことが難しい行政的医療の役割を期待されている。協会は都立病院が地域医療に果たす役割とその充実を訴えた。
しのはら都議からは「都立病院は都民にとって最後の砦だ。医療従事者を教育するという役割も担っており、民間病院ではできない業務を実施している。公的資金を十分に投入するべきだ」と意見が出された。
健診事業の改善を
健診事業について協会は、脊柱側弯症専用の検査機器の導入と、3歳児健診以降の追加的弱視スクリーニング検査の実施を都に要望している。
脊柱側弯症健診については、「秋田県や愛媛県では70%以上、千葉県では60%以上の教育委員会が機器を導入しているという。都も他県を見習って導入にむけて取り組むよう申し入れたい」、弱視スクリーニング検査については「弱視は早期発見が重要だということが分かった。3歳児健診の検査のみではその後の弱視を見逃す可能性があるのは問題だ。就学前健診時にスクリーニング検査を実施できるように働きかけていきたい」としのはら都議から発言があり、懸念点を共有することができた。
情報漏洩の被害とリスクを考慮すべき
健康保険証廃止後、マイナ保険証によるオンライン資格確認では未だに様々なトラブルが発生している。協会は都に対して、資格確認書を一律交付するよう区市町村に働きかけることを要望している。
しのはら都議から「難病患者等は申請や手続きが大変で、なるべく電子化したほうがその後の手続きが楽ということがある。また、マイナ保険証は任意だが、全員が実施しないと医療情報データベースがうまく機能しないなど、医療の受け手側にとって損をすることもあるのか」と質問があり、協会側から、医療情報が漏洩したときに個人が被る被害とリスクや、ヨーロッパのGDPRと違い日本の個人情報保護法は権利保護の体系となっていないことなどの問題点を指摘した。
協会は社会保障の充実のために今後も東京都および都議会各会派に対して働きかけを行っていく。
(『東京保険医新聞』2025年11月15日号掲載)


