【パブリックコメント】「令和8年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理」への意見募集に係るパブリックコメント(入院分)

公開日 2026年01月21日

 東京保険医協会は20日、中医協に「令和8年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理」に関するご意見の募集へのパブコメリックコメントを提出した。要求項目を紹介する。

「令和8年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理」に関する意見

2026年1月20日
 

入院分

Ⅰ-1 医療機関等が直面する人件費や、医療材料費、食材料費、光熱水費及び委託費等といった物件費の高騰を踏まえた対応

(2) 食材料費や光熱・水道費の上昇等を踏まえ、入院時の食費及び光熱水費の基準額を引き上げる。

 

【上記に対する意見】

 食事療養費1食690円、生活療養費1食604円からの引き上げは非常に有難いが、40円または60円の引き上げでは全く足りない。

 食費、栄養科機器の整備、栄養科職員の人件費が予想以上に高騰している。

 また、物価高騰に対する国民への支援として、標準負担額の食費(1食510円等)、療養病床65歳以上の居住費(1日370円など)を引き下げること。

 

Ⅰ-2-1 医療従事者の処遇改善

(1) 看護職員、病院薬剤師その他医療関係職種の確実な賃上げを更に推進するとともに、令和6年度診療報酬改定で入院基本料や初・再診料により賃上げ原資が配分された職種についても他の職種と同様に賃上げ措置の実効性が確保される仕組みを構築する観点から、賃上げに係る評価を見直す。

 

【上記に対する意見】

 医療機関では恒常的に医療関係職種が不足しており、特に中小病院においては、看護職員の確保が困難を極めており、高額な手数料を支払い有料職業紹介事業所に頼らざるを得ないという状況も問題化している。

 人員不足は、医療提供体制、医療安全に直結する。確実かつ大幅な賃上げができなければ人員不足が加速するのは明白だ。看護職員、病院薬剤師その他の医療関係職種の賃上げを行うためにも、入院基本料等の基本診療料の大幅な引き上げが必要不可欠だ。また現行のベースアップ・評価料や看護職員処遇改善評価料は届出、報告作業が煩雑であり、医療従事者の負担が増加している。人材不足の中、これ以上の負担を医療機関に強いることがないよう、基本診療料での大幅な引き上げを求める。

 

Ⅰ-2-2 業務の効率化に資するICT、AI、IoT等の利活用の推進

(1) 看護業務において、ICT機器等を活用することで業務の更なる効率化や負担軽減を推進する観点から、見守り、記録及び医療従事者間の情報共有に関し、業務効率化に有用なICT機器等を組織的に活用した場合に、入院基本料等に規定する看護職員の配置基準を柔軟化する。

 

【上記に対する意見】

 ICT機器について、看護職員の基準の緩和は有難いが、医療の質を向上させるためにより抜本的な対策を求める。

 国として、ICT機器の整備について柔軟な補助金または点数化も求める。

 ICT機器を整備しても、それを操作、監視する看護職員・パラメディカルは必要だ。

 抜本的な改善策として、看護職員のみならず、全職員の給与面の改善につながる入院基本料のアップをセットとして考えること。

 

Ⅰ-2-5 診療報酬上求める基準の柔軟化

(1) 医療現場を取り巻く人手不足の状況下で、質の高い医療提供体制の維持とそのための人材確保の取組の両立を図る観点から、公共職業安定所や無料職業紹介事業者、適正認定事業者を活用する等により、平時から看護職員確保の取組を行っているにもかかわらず、やむを得ない事情によって一時的に看護職員確保ができない場合について、看護職員の配置基準を柔軟化する。

 

【上記に対する意見】

 一時的な職員確保ができない場合について、看護職員の配置基準の柔軟化は非常に有難いが、医療の質を向上させるためにより抜本的な対策を求める。

 入院入院患者の重症化や認知症患者の増加は著しく、看護職員の再教育は必要不可欠だ。抜本的な改善策として、看護職員のみならず、全職員の給与面の改善につながる入院基本料のアップをセットとして考えること。

 

Ⅰ-2-5 診療報酬上求める基準の柔軟化

(4) 質の高い摂食嚥下機能回復に係る取組を推進する観点から、摂食嚥下機能回復体制加算の施設基準における、言語聴覚士の専従要件や実績の計算方法を見直す。また、療養病棟入院基本料における経腸栄養管理加算について、対象となる患者の要件を見直す。

 

【上記に対する意見】

 2025年6月13日に開催された入院・外来医療分科会の資料によると、経腸栄養管理加算の届出が困難な理由として、専任の管理栄養士の配置が困難であるためと回答した病院は、療養病棟入院基本料1を届出ている280病院のうち、約4割であった。実質、管理栄養士の増員を行わなければ対応できないため、加算点数と比較した結果、届出を見合わせる病院が存在することも推察される。中心静脈栄養から経腸栄養への移行を推進するためにも、加算点数の引き上げを求める。

 

Ⅱ-1-1 患者のニーズ、病院の機能・特性、地域医療構想を踏まえた医療提供体制の整備

(2) 救急搬送症例や手術なし症例における重症度、医療・看護必要度の適切な評価を進める観点から、重症度、医療・看護必要度による評価の方法を見直す。

 

【上記に対する意見】

 一般病棟用の重症度、医療・看護必要度のA・C項目への内科系疾病の項目の追加は評価するが、病院経営が危機的な状況であり、該当患者割合の基準については適切に評価すること。

 患者に必要な急性期医療を提供するために、A項目に「心電図モニターの管理」を追加すること。

 前回改定で急性期一般入院料1の評価基準からB項目が外されたが、引き続き評価を行うことは求められており、手間がかかっている。B項目の看護必要度を測る指標としては、前回改定後前後で何も変わっておらず、再度B項目を評価に加えるべきである。

 

Ⅱ-1-1 患者のニーズ、病院の機能・特性、地域医療構想を踏まえた医療提供体制の整備

(9) 地域包括医療病棟において、高齢者の中等症までの救急疾患等の幅広い受入を推進する観点から、高齢者の生理学的特徴や頻度の高い疾患を踏まえ、平均在院日数、ADL低下割合及び重症度、医療・看護必要度の基準を見直す。また、医療資源投入量や急性期病棟の併設状況に応じた評価を導入する。更に、リハビリテーション・栄養管理・口腔管理の一体的な取組を推進する観点から、加算の体系を見直す。

 

【上記に対する意見】

 地域包括医療病棟においては、施設基準が厳しいため、平均在院日数や救急患者割合、退院患者の在宅復帰割合や常勤の理学療法士等の配置基準を緩和すること。

 また、重症度、医療・看護必要度については、当該患者の基準からB項目の評価を外す方向で検討されているが、高齢者の急性期医療を担う病棟として、B項目を評価の基準から外すべきではない。

 

Ⅱ-1-1 患者のニーズ、病院の機能・特性、地域医療構想を踏まえた医療提供体制の整備

(10) より質の高い回復期リハビリテーション医療を推進する観点から、回復期リハビリテーション病棟入院料、回復期リハビリテーション入院医療管理料及び特定機能病院リハビリテーション病棟入院料の施設基準及び要件を見直す。

 

【上記に対する意見】

 前回の診療報酬改定において、回復期リハビリテーション病棟における運動器リハビリテーションの算定上限が原則1日6単位までとされた。一方で、一般病棟等では一定の条件を満たすことで1日9単位までの実施が認められている状況である。病棟が異なるだけで患者が受けられるリハビリテーションの量が異なることは、合理性がない。ましてやリハビリを行うことを目的とした回復期リハビリテーション病棟の上限を6単位としたことは、評価のあり方として不適切である。

合理性のない病棟種別による上限の差は設けず、回復期リハビリテーション病棟入院患者への運動器リハビリテーションについて、2024年度改定前の1日最大9単位に戻すこと。

 

Ⅱ-1-1 患者のニーズ、病院の機能・特性、地域医療構想を踏まえた医療提供体制の整備

(11) 療養病棟入院基本料を算定する患者の病態や医療資源投入量をより適切に反映させる観点から、医療区分2又は3に該当する疾患や状態、処置等の内容を見直す。あわせて、より医療の必要性が高い患者の受入れを推進する観点から、療養病棟入院料2における医療区分2及び3の患者の割合を引き上げる。

 

【上記に対する意見】

 2024年度診療報酬改定にて療養病棟入院料の医療区分に係る評価体系が9分類から30分類に再編されたが、細かく煩雑であるため請求事務に過度な負担が生じている。9分類に戻す等、簡略化すること。

また療養病棟入院料2における医療区分2及び3の患者割合の引き上げについては、医療区分1に該当する患者が入院できず必要な医療が受けられないという事態が生じないよう、医療区分1の患者像や入院せざるを得ない実態等を詳しく分析する必要があり、拙速な変更は行うべきではない。

 

Ⅱ-2-1 在宅療養患者や介護保険施設等入所者の後方支援(緊急入院等)を担う医療機関の評価

(3) 地域包括ケア病棟における在宅医療や協力対象施設の後方支援の機能をより高く評価する観点から、初期加算の対象となる患者の範囲及び評価並びに退院支援に係る診療報酬項目の包括範囲を見直す。

 

【上記に対する意見】

 地域包括ケア病棟については、2022年度診療報酬改定にて設けられた注9、注10、注11、注12、注13の減算規定を廃止すること。また、2024年度診療報酬改定で設けられた「40日以内」「40日以上」の区分を廃止すること。

 

Ⅲ-1-1 身体的拘束の最小化の推進

(1) 身体的拘束の最小化に向けた取組を更に推進する観点から、質の高い取組を行う場合の体制について新たな評価を行うとともに、身体的拘束を行った日の入院料の評価を見直す。

 

【上記に対する意見】

 身体的拘束最小化の基準を満たすためには入院基本料等の人員配置以上の人的配置が必要となり、また離床センサーやインカム等の整備により大幅な費用負担が課される。現状の入院基本料等では到底賄いきれず、体制整備の人的コストにふさわしい十分な評価とするとともに、認知症や精神疾患等、より多くの配慮や工夫が必要となる患者を受け入れた場合の評価を新設すること。

 また、クリップセンサーを使用したことだけをもって身体的拘束に該当するとの解釈は行わないこと。

 さらに、身体的拘束を行った日の入院料の評価について、現行の減算規定では人手のかかる患者の選別につながることも危惧される。減算規定は廃止すること。

 

Ⅲ-2 アウトカムにも着目した評価の推進

(1) 回復期リハビリテーション病棟において、より質の高いアウトカム評価を推進する観点から、リハビリテーション実績指数の算出方法及び除外対象患者の基準を見直す。

 

【上記に対する意見】

 リハビリテーションによる状態回復は個人差が大きいことから、アウトカム評価を回復期リハビリテーション病棟入院料の施設基準の要件とするのは不適切である。また回復の見込みがある患者を優先し、そうではない患者を受け入れない等の選別につながる。回復期リハビリテーション病棟入院料についてはこれ以上のアウトカム評価は行わないこと。さらにアウトカム評価そのものを廃止すること。

 

Ⅲ-2-1 データを活用した診療実績による評価の推進

(1) データに基づくアウトカム評価を推進する観点から、データ提出加算に係る届出を要件とする入院料の範囲を拡大する。

 

【上記に対する意見】

 データ提出加算の届出を入院基本料等の算定要件にすることは、入院医療の確保以外の負担を病院に強いるものである。特に回復期リハビリテーション病棟入院料、療養病棟入院基本料等の包括入院料を算定する中小病院がDPCデータを作成するには、レセプト請求作業とは別に出来高入院料を算定する病院と同程度の時間、労力を捻出しなければならない。これ以上の要件化の拡大に反対するとともに、入院基本料等の要件からデータ提出加算の廃止を求める。

以上