公開日 2026年02月06日
解散総選挙は1月27日公示、2月8日投開票となった。
診療報酬本体改定率が30年ぶりに+3%台となった裏で、2025年12月19日、自民党と日本維新の会は医療費を年1880億円削減することで合意した。この内容を含んだ大臣折衝事項(厚労大臣・財務大臣)が12月24日に発表され、かつてない数の社会保障費削減・患者負担増策が提示された(表参照)。


OTC類似薬の患者負担増
最も注目すべきはOTC類似薬77成分について、薬剤費の4分の1を「特別の料金」として患者から徴収する案だ(2面参照)。
日本維新の会が石破政権時代から連立にあたり強く要求してきた事項で、公的保険の自己負担が3割、2割、1割の患者は、「特別の料金」に係る消費税も含めると、それぞれOTC類似薬の薬剤費が5割、4・25割、3・5割に増加する。
長期収載品を希望する場合の選定療養費とは異なり、OTC類似薬の処方については患者に選択肢はなく、追加費用の徴収を説明できる合理的な理由は全くない。対象薬剤を使用する患者には影響が大きいにもかかわらず、これによる医療費削減額は900億円、1人あたりの保険料軽減は試算上月数十円と僅少だ。
高額療養費の引き上げ
高額療養費の限度額引き上げは2024年末の石破政権時代に提案され、患者団体等の強い反対を受けて再検討されていたが、2025年末に見直し案が具体化された。
当初案と比較すると緩やかな引き上げ幅になったが、それでも負担水準は高く、利用者にとって医療費支出が支払能力の40%を超える「破滅的医療支出」となり得る。
厚労省の試算では、これによる医療費削減は2450億円だが、そのうち1070億円(約44%)を受診抑制によるものと見込んでおり、問題がある。保険料軽減効果も1人あたり月116円と薄く、多数の軽微な負担軽減のための費用を少数の制度利用者に支払わせる「最悪のコストシフティング」だ。
医療法改正による締め付け
さらに昨年末に成立した改正医療法では、医師偏在是正、医療DX推進が柱となった。
医師偏在是正では、東京都区部の多くが該当する「医師過多区域」において、地域に必要とされる医療の提供を行わない新規開業者に対するペナルティを課す。
医療DX推進では、2030年までに政府が電子カルテ普及率100%を実現しなければならないとの条文が盛り込まれ、事実上の導入義務化が懸念される。
いずれも医療機関の運営に干渉するもので、改正医療法を盾として強引な規制が行われかねない。
いのちを守る政治を
総選挙を前に消費税の一部減税を公約に掲げる政党が続出し、もはや争点として陳腐化しているとの声もあるが、先に挙げたような社会保障政策については各党の相違が明確だ。
社会保険料の引き下げは時代の潮流となっているが、賛成する国民はそれに伴う給付水準の引き下げも飲み込めているのか。月数十円~百円程度の保険料軽減のために、医薬品の自己負担を増やし、いのちにかかわる制度を改悪することは妥当だろうか。
社会保障費削減の是非が我々有権者に問われている。
※全国保険医新聞2月5日号に政党アンケート結果が掲載されている。ぜひご参照いただきたい。
(『東京保険医新聞』2026年2月5日号掲載)


